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【高知県】

全国一斉行事 県内でも 不登校の悩み分かち合う 参加親子「気持ちが楽に」

高知新聞 2019年9月24日(火)
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室戸会場に参加した窪田美月姫さん=左、優さん親子。不登校について体験などを語り合った(室戸市室津)

 学校がつらい子にとって特に苦しさが増す新学期を前にした8月中旬、「#不登校は不幸じゃない」と題した不登校の子や親らの交流イベントが、高知県内を含む全国100カ所以上の会場で同時開催された。「不登校だと、多くの親は『レールを外れた、早く戻さないと』との感覚になる。でも親が楽な気持ちになれれば、子どもも『自分は大丈夫』と思える」。イベントを開いた不登校経験者や家族はかつての体験を伝え、参加者と悩みや不安を分かち合った。
 イベント「#不登校は―」は、昨年8月に続き2回目となる。
 発起人は約10年間不登校を経験し、「学校は行かなくてもいい」などの著書がある小幡和輝さん(25)=和歌山市。「不登校で劣等感を持ったり自己肯定感が下がったりするのはよくない。不登校のイメージを変えられれば」と、不登校の子や親が自由に過ごせる場所の開設を有志に呼び掛け、賛同の輪が47都道府県に広がった。
 県内会場は、室戸市と高知市の計2カ所。うち室戸市室津の「Gallery & Cafe 灯(ギャラリー&カフェ ともしび)」には、同市の窪田優さん(35)と、長女で県東部の中学校1年、美月姫(みつき)さん(12)が訪れた。
 美月姫さんは小学6年の時、思春期の子が発症しやすい自律神経系の病気「起立性調節障害」と診断された。体調を崩して休みがちになる中、友人のある振る舞いをきっかけに学校が怖くなり、不登校や保健室登校に。中学進学後も早退する日が多い。学校外の悩みも重なり「(登校は)しんどい」と話す。
 会場では小幡さんの著書を初めて読むなどし、進路の選択肢が広がったように感じた。「『だから学校に行かんでもいい』じゃなくて、自分はどうしたいのか考えたい」。そう前を見据えている。
 母親の優さんは、「不登校は不幸じゃない」という言葉に引かれて参加を決めた。
 兄が以前不登校だった女性ボランティアらと、時折目を赤くしながら悩みを語らった後、「(一般的に常識や普通と思われていることに)縛られた恐怖感がなくなった。学校に行きやせんことは、隠すことでも恥ずかしいことでもない」と心境の変化を吐露。「今まで不幸やと思っていた。話を聞いてもらって気持ちが楽になりました。こういう場所や情報がもっと発信されれば」と希望した。
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 高知市のNPO法人「GIFT」が運営する地域交流所「クルム」(同市朝倉己)には、不登校の子がいる母親3人が足を運んだ。
 小学4年の児童の母親は、「平日の日中に通って学べる場所の受け皿が少ない」と相談。話を聞いた同法人の田埜恵美さん(54)はインターネット教材などを紹介するしかなく、「子どもの個性に合った居場所が県内でもっと増えれば」と期待を寄せる。
 中学3年の息子のいる女性の心配は、進路のことだった。田埜さんは一例として、ネットを活用した通信制高校で、国内に1万人以上の生徒がいるN高等学校で四男(17)が学んでいると伝えた。
 田埜さんと母親3人はその日連絡先を交換し、今もやりとりを続けている。「やはり登校させた方がいいのでは」という周囲からのプレッシャーへの葛藤を明かす人もいる。「周りの心配も分かる。でも親が『大丈夫よ』と思っていれば、自分を責めている子どもにも伝わると思う」
 そう実感を込める田埜さんは、三男(22)が小学3年で不登校になった当初、気付かないうちに彼を責めていたと悔やむ。「無理に行かせたり、『行けばいいことあるよ』と“餌”で釣ったり…」
 三男の場合は高知市教育研究所の空気が合い、毎日通える居場所になったという。物作りが好きで、高校は高知工業を選択。今は愛知県の自動車関連企業で働いている。
 母親が進路を案じていた中3の男子生徒は、後日クルムに来所した。田埜さんの四男と高校生活などについて語り合い、「また来たい」と話したという。
 クルムは毎週木曜午前11時半〜午後6時、子どもが自由に過ごせる「えいや家(か) ぽけっと」として開放。もともと大人数が苦手な子のための場所で、利用者はごく少数といい、「親御さんも気軽に来て」と同法人は呼び掛けている。(室戸支局・大野耕一郎、学芸部・徳澄裕子)
 《ズーム》不登校支援 不登校の児童生徒を個人の状況に応じて国や自治体が支援することを初めて明記した「教育機会確保法」が2016年12月成立した。同法の規定により、17年に文部科学省が策定した基本指針では、「不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮し、児童生徒の最善の利益を最優先に支援を行うことが重要」とし、「登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要がある」と記している。