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児童福祉

【青森県】

十和田湖畔の休屋、町内会が託児・学童保育事業

東奥日報 2020年3月9日(月)
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4月から地元町内会による託児・学童保育事業の拠点となる「十和田湖保育園」=1月、十和田市提供

 青森県十和田市の十和田湖畔休屋地区の地元町内会が2020年度、同地区の保育園運営から撤退する社会福祉法人に代わり、同園の建物で託児・学童保育事業をスタートさせる。市が運営費を全額補助する方針。県によると、町内会が主体となり、保育所の代替施設運営に踏み切るのは県内初のケース。少子化に悩む地域の存続の在り方に一石を投じる動きと言えそうだ。

 休屋町内会の金村金作会長(70)によると、園児の保護者は湖畔の観光産業に関わる人がほとんど。金村会長は「(宇樽部地区に)小・中学校はあるのだから、どういう形でもいいから保育施設を残せば、若い子育て世代が湖畔にいられるかもしれないと考えた。初めての経験だが、みんなで協力し、子どもにけがをさせないよう運営したい」と意気込みを語る。

 市こども子育て支援課によると、休屋地区にある十和田湖保育園は11年度から民営化。市が土地・建物を無償で貸し付け、市内の社会福祉法人が運営してきた。

 少子化は深刻で、同園の利用園児数は18年度10人、19年度7人、20年度は4人(推計)と減少の一途。23年度にゼロになるとみられる。同園の場合、園児数に応じて加算される市からの給付費で運営するには11人が採算ライン。現状、給付費は職員5人の人件費で消え、法人側が光熱費や除雪費などを負担している状況という。

 法人の撤退方針を受け、昨秋から、市と保護者、地域住民らが断続的に善後策を協議。旧十和田湖支所付近にある最寄りの保育施設へのタクシー送迎も検討されたが、奥入瀬渓流沿いを経由し夏場でも1時間弱かかることに加え、冬場の道路事情も考慮すると「子どもへの心身のストレスが大きい」として断念した。

 そこで市は県にも相談した上、国が定める認可保育所・放課後児童育成事業に沿った法定事業ではないものの、地元の休屋町内会を実施主体に就学前の子どもらを預かる新たな事業を立ち上げる方針を固め、関係者と合意に至った。

 町内会によると、現在の保育園に勤務する保育士の一部が、新事業の託児所にも関わる見通し。このほかに支援員を確保し、草取りや除雪は町内会がボランティアで行う。

 今回の事例について、県こどもみらい課の担当者は「湖畔の地理的事情などを踏まえ、市は実情に応じた対応をしたのだろう。子どもが減っていくなかで参考事例となる」とコメント。市の北舘祐子健康福祉部長は「地域の方々が、これからの地域をどうするのかという意識を持って考えてくれた。市としても地域コミュニティーをしっかり支えていきたい」とした。

 市は運営費750万円を盛った20年度一般会計当初予算案を開会中の市議会定例会に提案している。市によると、3月5日時点で休屋地区は87世帯174人、宇樽部地区は37世帯87人。