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児童福祉

【福岡県】

「放課後デイサービス」に新たな形 「コロナ禍でも不可欠」

西日本新聞 2020年5月25日(月)
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パソコンの画面越しに座る男児に話し掛ける放課後等デイサービスのスタッフ=13日午後、福岡市の「こっしーらんど」

 発達障害や知的障害がある児童・生徒の学習や生活を支援する「放課後等デイサービス」で、通所に代わる新たな試みが広がっている。新型コロナウイルスの影響で利用者の多くが通所を自粛する中、オンラインの活用やサービスの“出張”など各施設が工夫してケアを継続。「環境変化に伴うストレスに人一倍敏感」「コミュニケーション力の低下が心配」といった悩みや不安に寄り添っている。

 「ゆっくりなぞってくださいね」。スタッフの野中理絵さん(40)に促され、パソコン画面越しに映る小2の男児はプリントの平仮名を慎重になぞり始めた。「すごい。『ぬ』のぐるって回るところ、上手になったね」。野中さんに褒められ、男児も笑顔になる。

 福岡市早良区の「こっしーらんど」では4月、スカイプやビデオ通話機能を使ったオンライン支援を始めた。男児は3月から通所を自粛。代わりに週3回、平仮名や足し算など学習を中心に約20分のオンライン支援を受ける。「短い時間でも外からの刺激を受けることが、成長につながっている」と母親は言う。

 別の中2の男子が受けるのは、得意の複雑な折り紙をして心を落ち着かせながら、スタッフとはオンラインで時事問題を語り合うという対人スキルを身に付けるための支援。他にも在宅での運動や料理など、オリジナルの動画も作成、提供している。

 同施設では4月の緊急事態宣言後、一時利用者の約8割が通所を自粛した。管理者の越村章子さん(51)は「支援が止まれば子どもの成長が止まる可能性もある。通所が再開した時、子どもがスムーズに戻れるようにと考えた」と話す。

 福岡県福津市の「うみのいえ」はキャンピングカーをレンタルし、各家庭の巡回に乗りだした。

 学校の一斉休校や緊急事態宣言など次々と事態が変化した時期。障害の特性もあり、見通しの立たない状況や急な変化を特に苦手とする子どもにとっては大きなストレスだった。

 「コロナ、怖い」「学校はいつから始まるのかな」。車内でそうつぶやく子も、パズルや塗り絵といった普段通りの遊びや学びに親しむことで、心は随分とほぐれていったという。

 20〜30分の限られた時間ではあるが、施設管理者の矢野加奈子さん(42)は「子どもたちの生活の変化を和らげることができた」と話す。保護者と玄関先で話し、密な意思疎通ができる効果もあった。

 キャンピングカーは4月に1週間レンタルし、その後は5月中旬までワゴン車を使った。1日当たり6人。在籍する小中高生35人のうち、通所を続けた数人を除く各家庭を巡った。現在は通所に戻ったが、再び感染が広がる可能性も念頭に置く。矢野さんは「私たちは非常時でも必要不可欠な役割を担っている。より効果的な巡回方法を考えるなど準備はしておきたい」と話している。