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【山梨県】

ママに代わり食事用意 甲府の女性「浮いた時間有効活用を」

山梨日日新聞 2020年7月8日(水)
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子どもたちと一緒にギョーザを作る佐藤香織さん(中央)=中央市内

 甲府市の佐藤香織さん(40)は「炊飯部」と銘打ち、食の提供を通じた子育て中の親子支援に取り組んでいる。母親が仕事で忙しい家庭などに夕食用の総菜を届け、時にはその家で子どもと一緒に食事を作る。利用料を使って生活が大変な家庭に食事を用意。自身がひとり親として時間に追われながら3人の子育てをした経験から、「浮いた時間を子どもや家族、自分のために使ってほしい」と話す。〈杉原みずき〉

 6月中旬の平日夕方、中央市の浜田紗綾子さん(36)宅で、佐藤さんが浜田さんの長男優成君(9)、長女巫優ちゃん(5)とギョーザを作った。具のみじん切りや包む作業を手伝った2人は、焼き上がると早速口に運び「おいしい」と笑顔を見せた。
 ハードウエアの受託開発を手掛ける会社を経営する浜田さんは週1回、佐藤さんに夕食作りを依頼。「頼むことで仕事に集中できる」と話す。

◎手間引き受ける
 佐藤さんは子どもが幼い頃に離婚。現在、中高生の3人を育てている。仕事、家事、育児に追われた時期を「もっと子どもとゆっくり話す時間がほしかった」と振り返る。食事のメニューを考え、作るという手間を引き受けようと、3月に炊飯部を立ち上げた。平日に炊飯部として活動し、週末は訪問介護のヘルパーとして働いている。
 炊飯部は母子家庭や多子世帯などさまざまな家庭の10人余りが利用登録している。1週間のメニューを伝え、利用者が必要な日に申し込み、各地域の拠点に総菜を配達。食中毒のリスクを考慮し、夏季は利用者宅を訪れ、好みや要望を聞きながら夕食を作っている。希望があれば、子どもと一緒に料理もする。利用者が材料費などを支払う仕組みだ。
 「必死に働いてもなかなか所得が増えず、毎日ご飯を食べるのが難しいこともあった」という佐藤さん。利用料を活用し、「子ども食堂が近くにない」「車を持っていない」など、さまざまな事情で子ども食堂や食材の配布活動を利用できない数世帯に食事や食材を届けている。家庭に入って関わるうちに、親がふと悩みや愚痴を漏らすこともあり「見えてくる課題もある」と実感している。

◎少しでも笑顔を
 利用者にとっては、料金の支払いによって、ほかの家庭の支援につながる「社会貢献」に関わっていることにもなる。浜田さんは「夕食を作ってもらうことに後ろめたさもあるが、それが誰かの役に立っていると思うと気持ちも楽になる」と言う。
 新型コロナウイルスの感染拡大後は、収入が落ち込んだ家庭を含め食材の配布も行った。「経済的に苦しい、時間がない、など困り事は家庭によってさまざま。それぞれの家庭のニーズに合った、できるだけ細やかな手伝いができるように」(佐藤さん)と意識する。
 ただ個人では限界もあり、一緒に活動できる人を探すことや運営方法を検討している。「お母さんたちとはママ友のスタンスで関わり、少しでも家庭に笑顔が生まれるようにサポートしたい」と話している。