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児童福祉

【山梨県】

VRを療育支援に活用 甲斐市の放課後デイサービス

山梨日日新聞 2021年1月21日(木)
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 障害などのある子どもを預かる甲斐市の放課後等デイサービスが、仮想現実(VR)技術を活用した療育支援を始める。プログラムに沿って均一的なレベル、内容の指導ができるほか、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でリモートでの支援が可能になるメリットも。担当者は「コロナ禍とその先を見据え、質の高い支援のあり方を考えたい」と話している。

 「わぁ、すごいよ」。10日、甲斐市内で開かれたVR支援の体験イベント。VRゴーグルを着けた子どもたちから歓声が上がった。担当者がタブレット端末を操作し、ゴーグルに映し出されたのは、教室で自己紹介をする小学生。名前や好きな食べ物について話し終えると、画面には利用者が話すべき内容が文字で表示される。子どもたちはゴーグルを着けながら、自分の名前や好きな遊びについて話した。
視線を感知
 療育支援にVRの導入を進めるのは、「Happinessあさひ会POCCOグループ」が運営する放課後等デイサービス「POCCOかいりゅうおう」(甲斐市西八幡)。ジョリーグッド(東京都中央区)が提供するVRサービス「emou(エモウ)」を利用する。
 VRゴーグルは装着者の視線の動きを感知。一部のコンテンツでは、人の動きや表情の変化など場面に応じた場所に適切に視線を向けていたか点数化され、タブレット端末にスコアが表示される。
 emouが担うのは、主に発達障害児を対象に、社会で必要とされる力を身につける「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」。友達との会話や人間関係のトラブルへの対処方法、就職面接の練習など、約100の場面を想定した映像を用意している。VR空間では安心して失敗でき、反復練習が容易といったメリットもあるという。
リモートも
 VRゴーグルは無線LAN「Wi−Fi(ワイファイ)」に接続できれば教室の外からも利用が可能。同事業所に小学生の娘を通わせる甲府市の父親は「娘は初めてのVRでのやりとりに緊張していたようだが、リモートでの支援が可能になれば、新型コロナウイルスの感染が拡大しても支援が途切れずにすむ」と普及に期待を寄せる。
 「POCCOかいりゅうおう」ではこれまで、買い物や工作、科学実験などの活動を通じて、集団の中で良好な関係を築くといったSSTに取り組んできた。だが、学校での自己紹介や日常会話のやりとりなどの場面を想定したトレーニングは難しく、担当する児童指導員の技量によって支援に差が生じやすいという。
 「POCCOグループ」の旭洋一事務長は「VRを導入することで、どこにいても均一な支援を提供することが可能になる」と指摘。「POCCOかいりゅうおう」で10台のVRゴーグルを先行的に導入し、今後の支援に取り入れていくという。