ニュース
介護

【島根県】

存在しないものが見える 幻視の怖さ、VRで実感 出雲で体験会

山陰中央新報 2019年9月24日(火)
認知症者が見ていると考えられる景色をVRで体感する参加者
認知症者が見ていると考えられる景色をVRで体感する参加者 

 認知症者が見ていると考えられる世界を仮想現実(VR)で体験する会が22日、出雲市であった。専用のゴーグルでケーキの上に虫が見える映像などを視聴。一部の認知症者が、現実には存在しない物や人におびえる理由を体感した。 

 「うわ」。シルバーウッド(千葉県)が開発したVRのゴーグルを掛けた約30人の男女から声が上がった。知人の家を訪ねると、リビングや台所に見知らぬ男性が立っている。出されたケーキの上には白い虫がうごめく。幻視があるとされるレビー小体型認知症の樋口直美さんの体験に基づく動画だ。樋口さんはビデオメッセージで「他の人が幻視の物や人を触ったり、照明を明るくしたりすると消える。幻視を否定されるとストレスになり、症状が悪化する」と指摘。近視や乱視と同様に幻視を受け止め、「温かい好奇心で、何が見えるかを当事者に聞いてほしい」と求めた。

 高いビルにいるようなVRも見て、一部の認知症者が車から降りるのを恐れる理由を知った。参加者は隣の人と話し合い「本人に理由を聞くのが大事」と、適切な対応に思いを巡らせた。同社VR事業部の黒田麻衣子さん(36)は「『怖いね』で終わらせず、症状を隠さずに言える環境があるかどうかを地域で考えたい」と語った。

 若年認知症者の丹野智文さん(45)=仙台市=の講演もあった。仕事を持ち、外出も1人でする丹野さんは「周りに聞けば何も困らない。失敗させないようにと周囲が守りすぎてはいけない」と話した。

 認知症の人と家族の会県支部が主催した。