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【愛媛県】

新型コロナ 闘いから共存へ 愛媛県内医師らパネル討論

愛媛新聞 2020年11月12日(木)
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県内の慢性期医療の関係者らが新型コロナウイルスとの共存について意見を交わした研究会=松山市

【患者の生活維持 配慮を】
 新型コロナウイルスに感染すると、高齢者や持病のある人は重症化するリスクが高い。介護・医療現場は感染対策をしながら利用者、患者の体と心の健康を守るための対応を模索している。愛媛県慢性期医療協会(会長・西尾俊治南高井病院院長)の研究会(同協会、医療機器メーカー「テルモ」共催)が松山市内であり、「新型コロナウイルス感染症との闘いから共存へ」をテーマに、継続的な治療・リハビリを行う慢性期医療に関わる医師や高齢者施設の施設長らが現状や課題を話し合った。

 パネルディスカッションで日本医師会総合政策研究機構客員研究員の櫃本真聿医師(松山市)は、感染が確認された人や医療従事者らへの偏見や誹謗(ひぼう)中傷が全国で頻発した問題について、「(感染やクラスターは)人災ではない」と強調。北条病院(同市)の高石義浩院長は「コロナに対して『間違った恐れ』があるから、理不尽な差別が起こる。ウイルスを『正しく恐れる』ことが必要だ」と訴えた。
 県内の病院で面会制限が続くが、「急性期」「回復期」「慢性期」で外泊や面会の状況に徐々に差が出始めたという。ウイルスと共存するための今後の対応について、松山リハビリテーション病院(同市)の木戸保秀院長は「急性期と、慢性期や介護施設などで分けて考えなければならない」とした。
 長期入院している患者や介護の利用者にとって病院や施設は生活の場。櫃本医師は「生活を途切れさせないよう配慮も必要だ」とする。特別養護老人ホーム味酒野ていれぎ荘(同市)ではレクリエーションなどの団体行動を減らして、外部の人と接触がないことを条件に敷地内で散歩をしたり歩く訓練をしたりといった個別の活動に方向転換しているという。窪田里美施設長は「デイサービスの利用者や特養の入居者たちの活動内容が狭まる中、職員には『コロナだから何もできない』ではなく『どういう注意や工夫をすればできるか』を問いかけてきた」と語った。
 県内の病院でもクラスター(感染者集団)が発生し、行政や専門機関と連携した経緯を踏まえ、今後の包括的な連携の必要性を再認識する意見も。櫃本医師は医療、介護の分野で働く聴講者に「感染症対策で人との接触を避ける文化が広がったが、われわれは日ごろからつながりを持つ大切さについて、再検討しなければならない」と呼び掛けた。