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【岡山県】

対話で心リフレッシュ 岡山のサロン「愚痴庵」開設1年

山陽新聞 2019年10月23日(水)
数人ずつ輪になり、対話を楽しむ「愚痴庵」の参加者たち
数人ずつ輪になり、対話を楽しむ「愚痴庵」の参加者たち

 元県精神保健福祉センター所長の山本昌知医師(83)が呼び掛け、昨年10月に始まった対話サロン「愚痴庵」が1年を迎える。毎月2回、岡山市北区岩田町の精神科医療資料館「カイロス」で開き、参加者は闘病体験や職場の人間関係、家族のもめ事などを打ち明け、心のリフレッシュを図る。7月には初めて真庭市へ出張するなど活動の場を広げている。

 山本医師の精神科診療所が2016年に閉院し、悩みや不安を相談する場所がなくなった患者たちの要望に応えて開設した。山本医師と医療・福祉職のボランティアらが運営し、毎回25人前後が参加している。飲み物代などの費用はカンパ制。広く病気の有無に関係なく参加できるよう、「他者の考え方を否定しない」「承諾なく個人情報を漏らさない」といった簡単なルールだけを定めている。

 参加者は、ネット上のSNS(会員制交流サイト)と違い、顔が見える安心感があるという。1人暮らしの50代女性=岡山市=は誰ともしゃべらず部屋にこもっていると不安になり、自分で自分をいじめてしまうが、「ここは人と会うのが心地いい」と対話を楽しんでいる。

 昨年3月、51年連れ添った夫を亡くし、毎晩泣いていた女性(75)は他の参加者の話を聞くうちに「まだ私にも何かできることがある」と思うようになり、愚痴庵の運営を手伝い始めた。話を聞くことで、自分も癒やされるらしい。

 開催日を増やしてほしいという声や真庭市以外でも出張サロンを望む声があり、いま運営委員たちが検討している。

 山本医師は「誰もが自分の世界を語ることを認められる場にしたい。多様な人が参加し、いろいろな経験を聞いて学んでいけばいい」と話している。