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高齢者福祉

【神奈川県】

移動困難者を支援へ ANAと京急などアプリや駅員の接遇検証

神奈川新聞 2020年2月4日(火)
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足こぎ車いすで京急線を降車する実証実験の参加者

 障害者や高齢者ら移動に困難を抱える人が、公共交通を使って安心して外出ができる環境を整えようと、交通事業者や大学などが連携した共同プロジェクトが、神奈川県横須賀市内などで進んでいる。実証実験を通じ、鉄道の効率的な乗り継ぎなどを支援するスマートフォンアプリの開発や、事業者のオペレーション向上などに取り組んでいる。プロジェクト担当者は「何らかの理由で移動をちゅうちょする方がいなくなるのが最終的なゴール」と話している。
 プロジェクトは、全日本空輸(ANA)と京浜急行電鉄、同市、横浜国立大の産官学4者で実施。中心を担うANAは、ITを活用し、移動手段の一元的なサービスを行う次世代の交通体系「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」に、移動をちゅうちょする人や交通事業者の視点を入れた新コンセプトとして「Universal MaaS(ユニバーサル・マース)」を定めた。
 ANA企画室MaaS推進部の大澤信陽さん(42)は「いろいろな制度やルールはそろっているが、介助が必要な方は他人に迷惑を掛けると、外出を遠慮している。そういう方の目線で考え、移動を諦めないよう支援したい」とプロジェクトの意義を説明する。
 ユニバーサル・マース実現のため、出発地から目的地まで各事業者や行政などが単独でなく手を携えることで、利用者が不安なく移動できるようなアプリ開発や、駅員の接遇の改善などを検証している。
 具体的には羽田空港から横須賀美術館(同市鴨居4丁目)までの移動ルートで定期的に実証実験を実施。今月中旬の実証では、足こぎと電動、手こぎの車いす利用者が、羽田空港到着ロビーから、アプリを使いながら同美術館まで移動した。移動者側は移動時に必要な情報が足りているかや、楽しみながら移動できているか、公共交通を移動の選択肢に入れられるかなど課題点を洗い出した。
 事業者側はスムーズな案内や介助時間の短縮、安全性担保などのポイントを中心に点検した。
 開発中のアプリは、利用者側はどのルートを通れば乗り換えに便利かなどが分かり、事業者側は利用者の現在地や、障害などの属性などが確認できる。実証実験ごとに改良している。
 脳出血で右半身にまひがある堀江奈穂子さん(47)は足こぎ車いすで参加した。堀江さんは「誰かの手を借りないと電車やバスは乗降できない。1回でもうまくできないと、外出が楽しくなくなる。移動が難しい当事者視点で問題点を明らかにし、改善してもらえるのはうれしい」と話している。