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【岡山県】

住民運営のカーシェアで地域の絆 美作・上山地区、高齢者乗り合い送迎

山陽新聞 2019年3月13日(水)
美作市上山地区のカーシェアリングによる送迎で、サロンに行くために車に乗り込んだ高齢者(画像の一部を加工しています)
美作市上山地区のカーシェアリングによる送迎で、サロンに行くために車に乗り込んだ高齢者(画像の一部を加工しています)

 車の共同利用で住民間の結束を強める「コミュニティ・カーシェアリング」が美作市上山地区で進んでいる。交通弱者の高齢者が外出する際に支援し、住民共助の地域コミュニティーの形成につなげるのが狙い。住民主体の運営のため持続性に不安がある一方で、過疎化の進む山里の問題解決への糸口として期待されている。

 「迎えにきたよ」「段差があるから足元に気を付けて」

 2月20日、地元の若者が運転する軽自動車に高齢者3人が自宅前から次々に乗り込んだ。目的地は、山あいの細く曲がりくねった道を進んだ先にある温泉施設。サロンが開かれ、高齢者や若者ら約20人がお好み焼きを食べながら世間話に花を咲かせていた。

 よく参加する女性(93)=同市=は「車がないので遠出するのは難しかった。乗せてもらえると外出の機会も増え、とてもありがたい」と話す。

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 上山地区ではNPO法人「英田上山棚田団」(美作市)と「みんなの集落研究所」(岡山市)が一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」の助成金を受け、2016年から中山間地域特有の課題解決などに取り組んできた。

 これまでに旅行企画や集いの場づくり、無償運送などを実現してきたが、今月末に迫る助成終了以降も継続できる方法を模索。日本カーシェアリング協会からの提案を受け、こうした活動を集約する形で昨年12月、「コミュニティ・カーシェアリング」を試験導入した。

 住民がカーシェアグループ「助け英田・しちゃろう会」を組織。利用者やボランティアドライバーとして老若男女42人が参加しており、同協会から借りた軽自動車を使って、通院やサロン参加などに乗り合い送迎を行う。さらに、ボールをスティックで打って五目並べの要領で楽しむ囲碁ボール大会、日帰り旅行を定期的に開催して会の運営費を捻出、住民の交流促進にもつなげている。

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 「住民が楽しんで活動できているので、これから本格実施していきたい」と同会副会長の水柿大地さん(29)。車のリース代や運営する役員の手当など活動に必要な年間の経費約50万円は1年ごとに精算。車利用者が1キロ100円を積み立てるほか、旅行やサロンの参加費の余剰金やイベント収益で補完する予定だ。

 しかし、住民運営のため資金面や人員面で今後も持続していけるのか課題は残る。

 グループでは4月から地元の事業者と連携して車両をリースするほか、参加者が楽しみつつ収益につながる新たなイベント実施なども検討し、継続に努力していく。

 日本カーシェアリング協会の吉沢武彦代表(40)は「持続していくには、役割を分担し、特定の人に負担が掛かりすぎないことが重要だ」とアドバイス。その上で「上山地区は、過疎化や高齢化に悩む集落の課題解決モデルの一つになり得る」と期待を寄せる。

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 コミュニティ・カーシェアリング 2011年東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で、一般社団法人日本カーシェアリング協会(同所)が提唱し、仮設住宅で始まった。住民主体のカーシェアリングを通じ、交通弱者救済のほか、住民交流の促進、自立的な地域づくりを実現する。石巻市では9団体が活動。県内では岡山市内でも取り組みが始まっている。