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【岩手県】

被災地でがんケア無料相談 岩手・広田診療所、14日から

岩手日報 2019年3月14日(木)
14日の相談窓口開設に向けて打ち合わせをする岩井直路所長(左)と藤井縁看護師
14日の相談窓口開設に向けて打ち合わせをする岩井直路所長(左)と藤井縁看護師

 岩手県陸前高田市広田町の国保広田診療所(岩井直路(なおみち)所長)は14日から、がん看護ケアの無料よろず相談窓口「ヒロピス」を始める。担当するのは全国のがんセンターで勤め、昨年10月から同診療所に勤務する広田町出身の看護師藤井縁(ゆかり)さん(50)。診療所での無料相談窓口は県内初で、全国でも珍しい。東日本大震災に見舞われた古里への恩返しを胸に、医療資源が豊かではない地域のがん患者や家族らにしっかりと寄り添っていく。

 相談窓口は毎週木曜日の午後に受け付け、がん患者や家族、看護ケア関係者らが対象。苦痛や悩み、不安などについて傾聴しながら一緒に考え、支援する。
 日本では1981年以降、がんが最多の死因となっており、岩手県でも2016年には4521人、気仙圏域では299人が亡くなった。緩和ケアを含めた医療体制が必要となっている。
 県によると、がんの相談窓口はがん診療連携拠点病院に指定されている岩手医大と県立9病院に設けられている。沿岸部では県立釜石、宮古、大船渡、久慈の4病院にあるが、診療所での無料相談窓口はなかった。

 岩井所長は「患者だけでなく、家族の悩みを聞く場は必要。不安を和らげたり、適切な情報を伝えることで日常生活の自由度と質が高まる」と相談窓口の必要性を強調する。
 藤井さんは看護学校での実習時に孤独のまま亡くなったがん患者をそばでみとり、患者を支える意識を高めた。看護師の資格取得後は国立がん研究センター中央病院(東京)、静岡がんセンター、宮城県立がんセンターに勤務。震災での被災は免れたが、1人暮らしの母親に寄り添うことも考え、昨年4月に帰郷した。
 がん患者支援に取り組む岩手ホスピスの会の川守田裕司代表(62)は「医療資源が豊かでない場所に相談窓口ができる意義はとても大きく、患者さんの心のよりどころになる。これを皮切りに、同様の取り組みがもっと広がってほしい」と話す。
 藤井さんは「がんにコントロールされてほしくない。適切な情報を整理して状況を理解してもらい、周りの人と一緒に愛情を持って見守っていける環境をつくりたい」と意欲を見せる。