ニュース
トップ

【高知県】

障害あっても企業戦力 南国市のトレー製造会社 重度含め30人

高知新聞 2019年3月14日(木)
工場の製造ラインで働く社員(南国市岡豊町江村の「エフピコダックス」)
工場の製造ラインで働く社員(南国市岡豊町江村の「エフピコダックス」)

正社員雇用3分の2
 従業員46人のうち30人が障害者という工場が南国市にある。多くが知的障害者で、重度の人もいるが、全員が正社員として1日8時間働いて利益を上げている。昨年は国や自治体による障害者雇用の水増し問題が発覚し、大きな批判が起こった。「障害があるからこそできる仕事」を追求する現場を訪ねた。

 食品トレーなどの製造を手掛ける「エフピコダックス」の高知工場は、国道32号・高知東道路沿いにある。
 透明な樹脂のシートがベルトコンベヤーで運ばれ、機械で成形、裁断されていく。工程ごとに数人の作業員がおり、機械の調整や検品、箱詰めなどを黙々と進めていた。
 機械音が響く中、作業がスムーズに続けられる。よくあるような工場風景だが、従業員の6割以上が障害者だ。20人ほどに重度の知的障害がある。全員が正社員で、給料は月平均15万円。年に1回の社員旅行もある。
 西川毅さん(41)は勤続22年。主任補佐を務め、真面目な仕事ぶりに周りの信頼も厚い。「母親の介護をしているので、給料をもらえるのがうれしい」と話す。
 勤続15年の竹内礼さん(34)は「仕事仲間とのコミュニケーションが楽しい。主任補佐になるのが目標」。3年目の佐竹祐介さん(24)は「楽しくやらせていただいてます。長く続けていきたい」と先輩たちと笑顔を交わした。
 「―ダックス」は食品トレー製造大手「エフピコ」のグループ企業で、障害者雇用を目的とした「特例子会社」。1986年に且田(かつた)久雄社長(70)=高知市=が「障害があっても収入を得て働ける場を」と千葉県で創業した。
 高知工場を拠点に全国に6工場を展開し、計約120人の障害者を雇用。今年1月には厚生労働省が認定する「障害者活躍企業」に選ばれた。
 工場では、数字が分からない人のために重量を判別する機械を入れたほかは特別な設備はなく、専門の支援者もいないという。
 且田社長は「ここでは障害が重度でも横に健常者が立ちません。先輩や同僚、できるものが助けるのが当たり前。分かるように何回でも教えます」
 働き始めた当初は、パニックで走り回ったり、壁に頭を打ち付けたり、工場から逃げる人もいたという。それをとがめることはせず、何度でもチャレンジしてもらう。
 「重度の子でもだいたい3カ月で仕事ができるようになりますよ。会社の本業で働き、社会のためになっていると実感できれば定着してくれる。健常者と同じですよ」
 障害者雇用を巡っては昨年、中央省庁や高知県を含む地方自治体で雇用数の水増しが発覚。高知県庁でも追加募集を行った。
 他企業の障害者雇用のコンサルティングも行う且田社長。障害があるからこそできる業務を選び出し、適切な人材を見極めて配置する重要性を訴える。
 「やりがいのない仕事をあてがうような数合わせの雇用は絶対駄目。彼らは環境次第で十分働ける。どこも人手不足の中、大切な人材です」と話す。(山本仁)