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【島根県】

3Dプリンターで支援具 障害特性合致、意欲向上へ

山陰中央新報 2019年3月15日(金)
3Dプリンターで作った支援具を使う生徒に声を掛ける西村健一准教授(左)=松江市東生馬町、島根県立松江清心養護学校
3Dプリンターで作った支援具を使う生徒に声を掛ける西村健一准教授(左)=松江市東生馬町、島根県立松江清心養護学校

 島根県立大松江キャンパス(松江市浜乃木7丁目)人間文化学部の西村健一准教授(46)=特別支援教育=が立体を作り出す3次元(3D)プリンターを使い、香川県の障害者団体と連携し、松江清心養護学校(松江市東生馬町)生徒の生活支援具を作った。現状では支援者が手作りする事例が多く「障害者が障害者のためにもの作りを行う動きが広がるきっかけになれば」と願う。

 3Dプリンターはパソコンにデータを入力すれば、紙に印刷するのと同じような感覚で立体物の製作ができるため、西村准教授は「障害者が指先一本でもの作りができ、就労支援につなげられる」と考えた。高松市内の養護学校に勤務していた2013年、障害者就労継続支援事業所の職員と3Dプリンターを使った事業に着手し、電動車いすの操作レバーキャップや腕置きを作る障害者をサポートした。

 18年4月、島根県立大に赴任。訪問先の松江清心養護学校で、中学部2年の杉原苺さん(14)に出会ったのが生活支援具を作るきっかけとなった。握力が弱く、物を握り続けるのが難しい杉原さんは、ホースを曲げてペンを挟む教員手作りの道具を使って絵を描いていた。

 既製品の支援具は個人の障害特性に合わない場合が多く、支援者が手作りで賄っている現状がある。「障害者が障害者のために世界に一つのもの作りを担う機運を島根で高めたい」。西村准教授は、交流する一般社団法人「障害者・高齢者3Dプリンタ・ファクトリー」(高松市)にペンを握る支援具のデータ作成を依頼し、研究室で出力した。

 このほど、完成した支援具(縦10センチ、横9センチ、高さ3センチ)を杉原さんに手渡した。持ち手には握りやすいよう指の太さに合わせたくぼみがあり、ペンを固定する部分を取り付けた。杉原さんは支援具を使い、満面の笑みでイチゴの絵を描いた。支える原祐子講師は「描きたいという意欲を感じた。支援具が彼女のやる気を引き出した」と目を細めた。

 西村准教授は「離島や中山間地域に住んでいても、ICT(情報通信技術)などの先端技術を駆使すれば働ける。障害者の皆さんがこの時代、この場所に生きてよかったと思ってもらえる環境を整えたい」と述べ、就労拡大に期待した。