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【山梨県】

弱視乗り越え大学へ センター試験でタブレット端末初認定 後輩に道開く

山梨日日新聞 2019年3月25日(月)
タブレット端末を使って大学入試センター試験を受けた石井瑠惟さん=山梨学院高
タブレット端末を使って大学入試センター試験を受けた石井瑠惟さん=山梨学院高

 視覚障害がある山梨学院高3年の石井瑠惟さん(山梨市)が、タブレット端末の拡縮機能などを使って大学受験に臨み、合格を果たした。一般の受験生と同じ問題用紙では文字が見えず、携帯用の拡大読書器だけでは、文字の判別ができても問題全体を読むのに時間がかかる。拡大や縮小などが自在にできるタブレット端末を使って受験できるよう掛け合い、1月の大学入試センター試験で初めて認められた。4月から大学生となる石井さんは「同じような障害がある人が受験しやすい環境をつくれて良かった」と話している。〈杉原みずき〉

 石井さんは山梨学院小4年の時に、徐々に中心部が見えなくなる弱視の一つ「黄斑ジストロフィー」と診断された。現在、小さい文字は見えにくく、漢字は36ポイント(約1・3センチ四方)以上の大きさでなければ判別できない。
 小中学校では、弱視者用の拡大教科書を使っていたが、黒板の文字は見えにくかった。文字サイズを調整しやすく、拡大しても明瞭に見えるタブレット端末の使用を学校に掛け合い、カメラ機能で黒板を撮影して授業に臨んだ。高校に入ると、拡大教科書がなくなり、教科書や副読本を端末に取り込んだ。高校2年時からは、校内の試験も端末に問題を取り込んでもらい受けていた。
 それでも読書には時間がかかり、「長文を読まなければならない国語や英語は大変」(石井さん)。大学受験では科目が少なく得意の数学を生かせる私立大を志望した。母親の知恵さん(57)と講演会などで、弱視に有効な学習方法や配慮についても学んだ。
 眼科医や、学習支援に関わった県立盲学校「Eye愛ひとみ相談支援センター」の薬袋愛教諭(39)の協力を得て、タブレット端末の使用を大学入試センターに申請。時間延長などの配慮も合わせて申し出た。
 大学入試センターによると、障害の程度に合わせて受験上の配慮があり、これまでパソコンの使用は認められていた。タブレット端末は過去にも使用希望があったが、「体制が整った」として、本年度初めて全国で石井さんら複数人が利用した。
 「従来の配慮は、声を上げてくれた人がいたおかげ。自分も、これから同じような障害の人が受けやすい状況をつくることができてうれしい」と石井さん。薬袋教諭は「個人の見え方に合った方法を選べる環境が実現された。同じような障害がある人にとって、受験の選択肢が広がった」と話す。
 石井さんは四つの私立大受験でもタブレット端末を使用。一般入試で合格を果たし、4月から早稲田大教育学部数学科に進む。「新しい環境に不安もあるけど、自分が望んだ道。周りの人にも頼りながら、できるだけ自分の力で頑張りたい」と意欲を新たにしている。