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【熊本県】

要保護の子ども、家庭で養育 潮谷前熊本県知事ら全国推進ネット設立

熊本日日新聞 2019年5月7日(火)
「子どもが健全に育つための基盤作りをしたい」と話す「全国家庭養護推進ネットワーク」の潮谷義子共同代表=熊本市中央区
「子どもが健全に育つための基盤作りをしたい」と話す「全国家庭養護推進ネットワーク」の潮谷義子共同代表=熊本市中央区

 親元で暮らせない子どもたちを里親など家庭で養育する施策を国が進める中、民間が連携して社会的養護の環境づくりを考える「全国家庭養護推進ネットワーク」が今年2月、設立された。共同代表に就いた潮谷義子前熊本県知事は「子どもの権利の代弁者として連携し、家庭でも施設でも幸せに育つための課題を共有して対応していきたい」と語る。

 厚生労働省の統計では、2017年度に虐待や貧困など親元で暮らせず保護が必要と判断された子どもの数は全国で約4万5千人。大半が児童養護施設などで生活し、里親など家庭で育つ子どもは2割に満たない。国は19年度までに里親などの委託率を22%に引き上げる目標を掲げる。

 県内でも要保護の児童は800人を超えるが、里親など家庭で暮らすのは1割強。里親のなり手不足や高齢化などで「受け皿」が増えず、家庭での養育を増やす国の目標に対応できない現状がある。

 同ネットワークによると、親元で暮らせない子どもを家庭で育てる社会整備を進めようと、里親や養護施設、医療団体代表らが全国規模で連携する民間組織の設立は初めて。組織の垣根を越えて、年1回程度フォーラムを開き、子どもの社会的養育のあり方や児童相談所など行政との連携について議論を深め、国や自治体への提言を目指すという。

 潮谷共同代表は「日本の将来を考える上で、子どもが抱える問題は家族、教育現場、地域社会が“よってたかって”考える必要がある」と強調。「里親への委託率など国が掲げる数値目標は現状を反映していない。社会的養育には養護施設と里親の両方の役割が重要で、里親への継続的支援も欠かせない。必要な施策を議論して国に提言をしていきたい」と意気込む。

 共同代表には、慈恵病院(熊本市)が設置する赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」の県検証会議で座長を務めた柏女霊峰・淑徳大教授も就任。柏女教授は「多くの子どもは家庭で育つことで、里親も含めた親への愛着が生まれ、自己肯定感や人への信頼感を持てるようになる。関係者がチームを組み、全ての子どもを支えたい」と話している。(林田賢一郎、清島理紗)