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【愛知県】

摂食障害「一人じゃないよ」 愛知の女性2人がHPに経験談

中日新聞 2019年5月28日(火)
「摂食障害で悩む人の力になりたい」と話す安藤瞳さん(左)と鷲主愛美さん=名古屋市内で
「摂食障害で悩む人の力になりたい」と話す安藤瞳さん(左)と鷲主愛美さん=名古屋市内で

 体重への過度のこだわりなど心理的な要因で、極端に食事を減らしてやせ細る拒食症、大量に食べる過食症。こうした摂食障害に苦しんだ愛知県の女性2人が2月、ホームページ(HP)をつくり、実名で自分たちの経験を発信している。摂食障害の経験者が、名前や顔を明かした上で患者へのメッセージをつづるHPは珍しいという。「特殊な病気ではない。きちんと治療すれば乗り越えられる」 (河野紀子)

 2人は、愛知県を拠点に活動するプロボウラーの安藤瞳さん(30)とヨガインストラクターの鷲主愛美(わしぬしまなみ)さん(25)。「摂食障害とあゆむ今とこれから」と題したHPの中で、摂食障害はどういう病気かという基本的な説明から、原因や症状、どんな治療を受けたかといった個人的な体験までを丁寧につづっている。

 安藤さんが摂食障害を発症したのは小学4年の時。ダイエットをする友達につられ、「気軽な気持ち」で食事制限を始めたのがきっかけだ。炭水化物や肉類を減らしたところ、簡単に体重が減って快感に。半面、体重がわずか100グラム増えることさえ怖くなった。当時は身長130センチに対し、体重は12キロだった。

 座っているのもつらい疲労感、体温が34度台になるほどの冷え、筋力低下…。HPに載せたやせていたころの写真の脚は、折れそうなほど細い。「命の危険があるのに、太るのが嫌で水も飲めなかった」。結局、10カ月間入院し、栄養剤の点滴やカウンセリングなどの治療を受けた。

 少しずつ食べられるようになって退院したが、適量が分からない。菓子パン5個を一気に食べては「太りたくない」と下剤を飲む。学校に復帰すると、頑張りすぎて疲れ、また食べられなくなって入院。「支えてくれる家族とぶつかることも多く、出口のないトンネルの中にいるようだった」

 孤独に苦しむ中、転機は中学2年の時に参加したボウリング教室だ。練習するほどうまくなるのが楽しくて、プロボウラーになることが夢に。通信制高校を卒業後、ボウリング場で働きながらプロテストに挑み、21歳で合格した。

 6年前、ボウリング雑誌で病気を公表した。病気について広く知ってほしいと思ったからだ。今は身長150センチ、体重44キロとすっかり元気だが、まだ不安になる瞬間がある。一生病気と付き合うことを覚悟する中、過去の自分のように、一人で悩む人の力になりたいという思いが強まった。

 昨夏、高校時代から4年間、過食と嘔吐(おうと)を繰り返したという鷲主さんと知り合って意気投合したことが、HP開設につながった。内容は、週に一度の頻度で更新。患者やその家族から「2人の笑顔に勇気をもらった」という感想が寄せられている。

 「病気を認めたくない気持ちもよく分かるが、早めに治療をすることが本当に大切」と2人。「決して一人じゃない。前向きな気持ちになってくれたらうれしい」と話す。ホームページはhttp://washy-yoga.jp

◆患者 全国に数十万人 国推計
厚生労働省の研究班が2015年度、精神科など5000の医療機関に行った調査では摂食障害で治療中の患者は約2万6000人。未受診も含めると数十万人と推計される。拒食症では栄養失調や自殺などで10人に1人が亡くなるという調査も。

 30年前から治療に取り組む政策研究大学院大の鈴木真理教授によると、体重への執着に加え、対人関係などのストレスも原因になる。回復には数年から十数年かかり、自傷行為や窃盗などの問題行動が出ることもある。「昔より病気自体は知られているが、まだ偏見も強く、患者は孤立しがち」と話す。

◆50団体が自助活動
 専門の医療機関が少ない中、病気を自覚、治療に立ち向かう第一歩となるのは同じ境遇の人が集う自助グループだ。鈴木教授によると、17年4月時点で約50の団体が活動。また、静岡、千葉、宮城、福岡には、国と自治体が設ける摂食障害治療支援センターがあり支援にあたっている。