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【神奈川県】

高齢化進む王禅寺の町会  空き家を集いの場に  地域交流活性化に期待

神奈川新聞 2019年6月21日(金)
新たな地域の核として期待される「みどり町会サロン」=川崎市麻生区王禅寺西
新たな地域の核として期待される「みどり町会サロン」=川崎市麻生区王禅寺西

 長期にわたり空き家となっている住宅の維持・管理が社会問題化する中、川崎市によるモデル事業が本格稼働した。麻生区内の空き家を、地元町会が集いの場として利活用。希薄化する地域コミュニティーの再生にも役立てていく一石二鳥の試みだ。
(須藤 望夢)
 取り組みを進めているのは、同区王禅寺西の「王禅寺みどり町会」。約400世帯が加入する同町会にはこれまで集会所がなく、近隣自治会の会館を借用してきたが、約5年にわたって空き家となっている住宅を「みどり町会サロン」として活用。レクリエーションや会合などで使用している。
 サロンは木造2階建て(延べ床面積約70平方メートル)で、主に使用する1階部分は10畳と6畳の2間になっている。市が町会と所有者の橋渡し役を担い、昨年12月に両者で覚書を締結。集会所となることで固定資産税の減免措置が受けられるメリットが所有者にあり、今回は賃料を徴収せず光熱水費のみ町会が負担することで話がまとまった。
 市住宅整備推進課によると、2013年の調査で、実質的な空き家となっている市内の一戸建て物件は3590件と判明。うち、麻生区では、全体の4分の1超を占める950件を数えた。
 こうした中、市住宅政策審議会は17日に福田紀彦市長に答申を提出。高齢者の単身・夫婦世帯が住む一戸建て住宅が市全体で約4万戸に上る現状を踏まえ、「将来的に空き家となる可能性が高い」と指摘した上で、空き家の活用促進などを進め、世代間循環に取り組むべきだと提言した。
 長期不在の空き家は防犯、防災面への懸念が広がる。さらに、同地区では、ハクビシンなどの野生動物がすみ着くケースも見られるという。

 モデル事業は空き家の適切な維持と管理に加え、高齢世帯が増加する地域において共助の仕組みづくりとしての側面もある。
 「老人会もだんだん人が減り、高齢化で3年前に解散した」とは町会長の中川嘉憲さん(83)。同町会では従来、祭りなど住民が集まる機会が少なく、住民同士のつながりは希薄だった。
 4月のオープン以来、毎月開く「茶話会」を通じ、コミュニケーションの輪は着実に広がる。民生委員を務める串田桂子さん(64)は「風通しは少しずつ良くなってきた。顔見知りになってくれる人は増えてきたかな」と効果を強調する。
 活用法はお年寄り向けだけではない。子育て中のママや子どもたちの集いの場、ランチ会を開きたい…。住民から寄せられたアイデアの具現化を模索する。
 中川さんは「まずは茶話会を軌道に乗せ、そこから枝葉を広げ、さまざまに使えるようになってほしい。あの手この手で周知を進めていく」と話している。