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【青森県】

出張スーパー広がる笑顔/今別の袰月地区

東奥日報 2019年6月26日(水)
出張スーパーで買い物をする袰月地区の住民。店員と会話が弾み、「店内」はにぎやかだ=16日
出張スーパーで買い物をする袰月地区の住民。店員と会話が弾み、「店内」はにぎやかだ=16日

 高齢化率青森県内トップの今別町袰月地区で昨年末から、住民が中心となり、集会所で出張スーパーを開いている。袰月の高齢化率は町平均の50%をさらに上回る70%超で、車の運転ができない人も増え始めた。買い物支援だけでなく、普段は家にこもりがちな高齢者が外に出るきっかけにもなっており、袰月のにぎわいに一役買っている。

 「前回おはぎがすぐ売り切れちゃったから、早く買いにきたよ」

 16日昼すぎ、袰月会館。雨にもかかわらず午後1時の開店の30分以上前から、手押し車や買い物袋を持った住民が続々集まってきた。玄関ホールには野菜や果物、保存食、菓子などを中心に約50品目以上が並んだ。この日は同館で地区総代会もあり、閉店の同2時半までに、住民の半数の30人が入れ代わり訪れた。

 キノコやバナナなどを買った石澤フサさん(81)は「家から出ない人も多いから、いろんな人に会えるのを楽しみにしている。冗談を言いながらおしゃべりもできる」と笑う。3人の子どもは独立し、漁師の夫と2人で暮らす。買い物は移動販売で済ませるが、一部生鮮食品を扱う町中心部の店にバスで出掛けることもある。「ここだと歩いて来られるし、時間を気にせずゆっくり買い物できるのでうれしい」

 袰月には62人が暮らす。品ぞろえが充実した外ケ浜町や青森市のスーパーまで車で出掛ける人もいるが、運転ができない人にとっては、平日に週2回ほど来る移動販売車が頼りだ。

 出張スーパーは、2017年に袰月に移住してきた依田啓夢(ひろむ)さん(24)=山梨県出身=と、移住者支援団体「あおつな創出プロジェクト」(神直文代表)が企画。ちょうど、高齢者の買い物支援を考えていた五所川原市金木の中谷食品と連携し、昨年12月から月1回ペースで開いてきた。

 手書きで商品名を書き、高齢者が計算しやすいよう、きりのいい値段に設定。前回の売れ筋や要望を取り入れながら、なるべく移動販売車が扱う商品と重ならないように工夫している。重い荷物は、袰月最年少の依田さんが家まで運ぶこともある。

 「これ、どうやって食べようか」「ニラは卵とじにして食べればおいしいよ」

 住民にとって、店員との会話も楽しみの一つだ。中谷食品の大場真理子さん(43)は「会話をするうちに、お客さんの顔と好みがようやく分かってきた」とほほ笑む。同社にとっては店を知ってもらう機会になり、採算面でもおおむねクリアしているという。「地域の人に喜んでもらえるのが何よりうれしい。来てほしいと言われる限り、何度でも来たい」

 青森公立大学在学中から町に通い、暮らしぶりを見てきた依田さん。住人となり2年がたったいま、袰月への思いを強くしている。「冬になるとますます外に出ない人が多くなり、これから運転ができなくなる人も増える。地区の人たちが気軽に集まり、楽しめる場をつくりたい」