ニュース
トップ

【高知県】

高知県の特別支援学校生25年で倍に 保護者ら理解進む

高知新聞 2019年7月16日(火)

 高知県内で知的障害のある子どもが通う公立特別支援学校の児童生徒数が増えている。2018年度の在籍者数は606人で、25年前に比べ約2倍の水準になった。背景には、社会で特別支援教育への理解が進み、専門的な教育を求める保護者のニーズが高まったことがあるという。

 特別支援学校は県内に16校あり、このうち知的障害のある子どもを対象にした学校は8校(国立1校、県立と高知市立が計6校、私立1校)。県などが設置する教育支援委員会が児童生徒の障害の程度などを判断し、入学の可否を決める。

 県教委が把握する県立と高知市立の6校の児童生徒数(小学部〜高等部)は317人だった1994年度以降、増加傾向が続き、昨年度は約2倍の606人になった=グラフ参照。

 県内の小児科医によると、医学的に知的障害のある子どもの割合が増えているわけではないという。

 増加の要因について県教委は、保護者や関係者の特別支援学校に対する理解が進んだと指摘。市町村が設置する小中学校の特別支援学級で学ぶ児童生徒数も増加傾向にあり、こうした状況は全国的にも同じだという。

 児童生徒の増加に伴い、県中央部では校舎が手狭になっている学校もある。現段階で学習や生活面への影響は出ていないが、県教委は今後も増加傾向は続くとみており、どう対応するかを検討している。 

特別支援学校の専門性に期待 教育ニーズ高まる
 高知県内で増える特別支援学校への入学者。その理由として、多くの関係者が「特別支援教育への理解が進み、偏見が薄れた」ことを挙げる。保護者からも障害に合わせた専門的な教育、就労を見据えた技能習得への期待が高い。

 香美市の山田特別支援学校は近年、入学者の増加傾向が続いている。この4年でみても、小学部の入学者数は2016年度に34人だったのが本年度は47人に増えた。

 川村泰夫校長は「昔は周りの目や偏見などが多少なりともあったが、理解が進み、特別支援学校に対する抵抗感があまりなくなったことが要因の一つ」とみている。

 小児科医で南国市の「土佐希望の家」医療福祉センター長の吉川清志医師は「障害のある人もオープンに社会に出るようになったため、子どもの将来を考え、普通学校ではなく特別支援学校で専門的な教育を受けさせたいという保護者が多くなっている」と話す。

 山田特別支援学校に子どもが通う40代女性は「当初は普通学校に行ってほしいと思い、葛藤があった」。それが、地元の教育委員会や医療関係者らと話し合う中で、就労支援が充実している同校への進学を決めた。

 「いま思えば当時は親のエゴだった。学校では木工などの技能が身に付くし、実習で仕事の向き不向きも分かる。本人も『働きたい』という気持ちを持ってくれている」と前向きに捉えている。

 同じような感想は他の保護者からも聞かれ、日高特別支援学校(高岡郡日高村)のPTA会長、松沢寿道さん(52)は「支援が必要な子どもに対応できる先生がたくさんいて、普通学校より安心感がある」。周囲でも特別支援学校を選んで良かったという声が多いという。

 社会福祉法人「県知的障害者育成会」の秋友英稔理事長は「学齢期以前から児童発達支援センターなどの福祉サービスを利用し、そこから特別支援学校につながる流れが近年できたのでは」と話している。(今川彩香、山本仁)