ニュース
トップ

【秋田県】

病気の子どもを「スカイプ」で学習支援 秋田大教授が取り組み

秋田魁新報 2019年9月12日(木)
病気で入院する子どもたちの現状や支援の手だてを学んだ説明会兼研修会=秋田市の秋田大手形キャンパス
病気で入院する子どもたちの現状や支援の手だてを学んだ説明会兼研修会=秋田市の秋田大手形キャンパス

 入院や自宅療養のため学校に通えない児童生徒の学習を支援する県内のボランティア活動が、今年で5年目を迎えた。中心となっているのは秋田大大学院教育学研究科の藤井慶博教授(57)=特別支援教育=と同大の学生たち。昨年からは「人材バンク」として県民のボランティアを募るなど、徐々に活動の輪が広がっている。

 ボランティアが始まったのは2015年。病気療養中の児童の学習支援について相談を受けた藤井教授が、学生たちに呼び掛けたのがきっかけだった。

 子どもたちの学習支援のため、藤井教授たちが活用しているのがインターネット電話「スカイプ」。子どもがいる所とボランティアがいる所を回線でつなぎ、画面越しにやりとりする。感染症にかかりやすい子どもの場合はこうした「遠隔支援」が効果的だが、本年度からはボランティアが子どもたちの所に出向く「アウトリーチ型」の支援も始めた。

 これまでサポートした県内の児童生徒は5人。小中学生や高校生だけではない。病気で高校受験できないまま中学校を卒業し、その後、何の公的サポートも受けられずにいた子の受験勉強も支援した。

 現在は41人がボランティア登録。学生や大学院生のほか、退職した元教員も加わっている。先月上旬、秋田市の秋田大手形キャンパスで開かれたボランティアの説明会兼研修会には約30人が参加。藤井教授が病気の児童生徒を取り巻く状況について説明した。

 藤井教授によると、県内で18年度に病気やけがで長期欠席(30日以上)した児童生徒は計338人。内訳は▽小学校92人▽中学校132人▽全日制高校86人▽定時制高校9人▽特別支援学校19人―となっている。

 藤井教授は「県内には長期の治療を要する子どもが一定数いる。だが教員の時間の確保が難しいことや感染症対策の問題、入院期間が不定期・断続的であるなどの理由から、十分な学習支援が受けられずに学習の遅れや空白が生じている現状がある」と語った。

 また義務教育ではない高校生の場合、出席日数の不足から停学や退学になってしまうリスクもあると指摘。「人材バンクを通して、どの子も教育が受けられる環境づくりを目指したい」と述べた。

 ボランティアのメンバーで、現在高校生の支援に関わっている古谷優実さん=同大教育文化学部3年=は「ボランティアを通じて、病気の子どもたちが置かれた環境や子どもたちにどう接したらいいのかが分かってきた。教員を目指しているので、将来は子どもたちの支援に生かしたい」と話した。

 ボランティアの説明会は来年2月にも開く予定。問い合わせは藤井教授(研究室直通)TEL018・889・2596

 ◇  ◇
【きらり支援学校教諭、ICTで授業を中継 子どもと在籍校つなぐ】

 研修会では、秋田きらり支援学校で病弱教育コーディネーターを務める門脇恵教諭(42)が学校現場での取り組みを紹介した。

 同校では、病気の子どもが元いた学校にスムーズに復学できるよう、情報通信技術(ICT)を使って子どもと学校をつなぐ支援をしている。例えば、児童生徒が希望する授業や校外学習、宿泊研修などの様子を中継し、入院先の病院や自宅で見てもらっている。

 「子どもたちはその場にいなくても、みんなと一緒に活動して楽しいという気持ちを味わうことができる」と門脇教諭。入院中の子どもとクラスメートが画面越しにコミュニケーションを取ることもできるという。

 「入院中も学校とのつながりを維持することで、子どもは復学しやすくなる。学習支援だけでなく、気持ちを支えていくことも大切にしたい」と述べた。