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【愛知県】

視覚障害者に地元の情報届けて40年 豊田市の「銀河の会」

中日新聞 2019年10月11日(金)
新聞を手に、打ち合わせをする「週刊豊田ニュース」のボランティア=豊田市錦町で
新聞を手に、打ち合わせをする「週刊豊田ニュース」のボランティア=豊田市錦町で

 地元の情報を、目が不自由な人にも届けたい―。愛知県豊田市で活動する「音訳ボランティアグループ 銀河の会」は文字情報を読み上げて録音し、視覚障害者に無償配布する取り組みを40年以上続けている。現在では市の広報や各種団体の会報だけでなく、本紙の原稿も吹き込んで届けている。 銀河の会は1976年、図書館の朗読講座の卒業生が集まり発足。書籍や市広報などの音訳を続け、現在は40人が会員となっている。90年に本紙と朝日新聞の1面コラムの音訳を始めてから、段階的に音訳する新聞のページを社会面などに広げ、紹介するコーナーも増やしていった。

 地域の情報を充実させようと、2008年からは本紙豊田版を中心に音訳する「週刊豊田ニュース」のサービスを開始。ボランティア11人がシフトを組み、1日分を1人が担当。1週間分、約1時間40分の音声を専用の形式に変換し、メールかCDで送る。利用者はパソコンの専用ソフトか、CDを専用の再生機に入れて聞く仕組みだ。

 課題は利用者不足だ。市障がい福祉課によると、4月現在、身体障害者手帳を交付されている視覚障害者は711人。週刊豊田ニュースの利用者は18人しかおらず、銀河の会が利用を呼び掛けようにも、個人情報の観点から連絡先が分からないという。大沢勝江会長(64)=市木町=は「1人でも多くの人に声の情報を届けたいのに、周知する方法がない。点字が分からない中途失明者も多く、音声情報は貴重なだけにもったいない」と残念がる。

 豊田ニュースの担当者は「ルビのない地名はさまざまな文献で調べるが、人名ばかりはそうもいかず、調べるにも限界がある」と新聞を吹き込む難しさを話す。録音、編集やCDの発送など人手も必要なことから、会では利用者だけでなく、ボランティアも募っている。大沢会長は「最近は電子音声を使った自動読み上げの仕組みもあるが、やっぱり肉声にはかなわない。情報に、利用者さんを思う気持ちを乗せて届けたい」と意気込んでいる。
 (久野賢太郎)