ニュース
トップ

【青森県】

弘前市と弘大連携「発達健診」、県内外が注目

東奥日報 2019年12月2日(月)
物をキャッチする検査で、子ども(手前右)の体の動きを確認する弘大病院のスタッフ=11月、弘大病院(画像を一部加工しています)
物をキャッチする検査で、子ども(手前右)の体の動きを確認する弘大病院のスタッフ=11月、弘大病院(画像を一部加工しています)

 弘前市と弘前大学は2013年度から、市内の5歳児全員を対象に、自閉症や学習障害などの発達障害の早期発見事業を行っている。早期診断によって早期の対応が可能となり、学校生活へのスムーズな適応、将来の不登校や引きこもりの防止にもつながるとされる。市と大学が連携した「弘前モデル」は青森県内外の関係者の注目を浴びている。

 11月中旬、弘大病院で行われた発達健診2次検査。複数の5歳児が、歩行や視線、知能の検査を受けていた。中には、落ち着きがなく、すぐに親のもとに駆け寄ってしまう子や、動作がぎこちない子も。

 言葉がうまく出てこない息子の検査を受けた30代女性は「小中学校に上がってから障害が分かるより、就学前に診断された方が早く対策を立てられる。専門の人に診断されるのであれば安心」と語った。

 発達健診事業では、1次検査で「落ち着きなく、じっとしていられない」「独特の声を発する」などの質問項目に答えてもらい、発達障害の可能性がある子どもを対象に、毎年度5月と11月、2次検査を実施している。本年度対象の5歳児は1265人で、11月には60人が2次検査を受けた。

 検査スタッフは、医師(精神科、小児科)、看護師、保健師、公認心理師、医学生ら約70人にも上る。

 医師や検査スタッフが発達障害か、そうでないかを検診日のうちに判断し、2カ月後、保護者対象の結果説明会を開催する。毎回、2次検査を受けた子どもの約9割に疑いも含めて何らかの診断が出される。診断された子どもは弘大病院の発達外来などで、言語の発達や意思疎通の支援を継続的に受ける。

 5歳児全員を対象にした発達健診を行う市町村は県内にはなく、市と大学が連携する取り組みも全国的にも珍しい。このため、県内外の自治体や関係機関が同大に視察に来ている。

 同大神経精神医学講座の斉藤まなぶ准教授によると、発達障害が原因で周囲の環境と折り合えず、不登校や引きこもり、いじめ被害などに至るケースもあるという。斉藤准教授は「早期診断を行うことで、学習のつまずきなど将来起こりうる事態を予想でき、教育委員会などと連携して適切に支援することができる」と話した。

 県発達障害者支援センター「ステップ」(青森市)の町田徳子センター長は「発達障害の早期発見・早期介入の弘前市の取り組みは、大学と地域が共同して行う全国的にも先駆的なシステム。検査の様子を関係者にオープンにすることで人材育成にもなっている」と語った。


▼発達障害 脳の一部に生まれつき機能障害があることが原因とされる。自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれる。他人の気持ちを読み取ったり、物事を計画的に進めたりすることが苦手−など、人によって特徴が異なる。社会生活に困難を生じ、本人が生きづらさを抱えることもある。