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【青森県】

困窮者を支援、青森しあわせネット

東奥日報 2019年12月12日(木)
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がん治療費の支払いに困っている相談者の支援について弘前市の職員と打ち合わせする岡田副院長(右)=10日、弘前乳児院

 見えづらいが、少なくない生活困窮者−。青森県内の社会福祉法人が連携し、生活に困っている人に食料提供や光熱水費の支払いなど緊急支援を行う「青森しあわせネットワーク」。各法人に現状を尋ねると、その日の食べ物にも困っている人、水道や電気が止められそうな世帯など、社会の制度のはざまで、厳しい現実を抱え生活する人は少なくないという。

 「最近、ご飯を食べたのは1週間前。食べ物を提供してもらえませんか」

 今秋、社会福祉法人・弘前乳児院(弘前市品川町)に高齢男性が訪れた。男性の外見は、普通と変わりなく、困窮しているようには見えなかった。

 岡田加奈子副院長らが、おにぎり数個を提供したが、「急に多くは食べられない」と一つしか口にしなかった。

 弘前乳児院は、しあわせネットが始まった2017年9月から、これまで20件以上の支援を行ってきた。相談者はさまざまだが、年金受給者や無職の中高年男性が多いという。今月は、がん治療を受けながら働く中年女性の医療費支払いの相談もあった。

 現物給付の制度なので、光熱水費や家賃の支払いは、職員が金融機関などに一緒に行き支払う。灯油やガソリンが必要な場合は、一緒にスタンドに行く。すべて乳幼児の養育業務の中で時間を見つけて行っている。

 「身近にこれほど切羽詰まった人が多いとは思っていなかった」と岡田副院長。「(余った食品を必要な人に届ける)フードバンクと協力するなど、他の機関と連携できれば」と今後の課題を語る。

 社会福祉法人・七峰会運営の「総合福祉相談支援センタービリーブ」(弘前市熊嶋)は、18年2月から16件支援した。生活保護受給まで日数がある人や、就労し始めたものの給料日まで日数がある人の相談もあった。相談者の経済状況を調べた上で支援するので、給付まで2〜3日はかかるという。

 相談支援専門員の工藤透さんは「一時支援という意味では制度は有効だと思う。ただ支援後、自立できるように継続支援するのも大切」と話した。

 しあわせネットの事務局・県社会福祉協議会の葛西裕美・社会貢献活動推進室長は「支援を必要としている人は、実際にはもっと多くいると思う。制度を周知していきたい」と語った。

2年で支援680件 弘前が最多

 「青森しあわせネットワーク」では、2017年9月末の発足から今年12月1日までの約2年2カ月間で、約360人(世帯)に約680件の支援を行ってきた。

 支援した合計額は約884万円に上り、支援項目別の金額を見ると「光熱水費」が約244万円、「食材」が約217万円と多く、家賃などの「住居関係費」は約134万円だった。

 「その他」は約154万円で、支援内容は「携帯電話料金」が多く、「子供の学級費」「学校指定のシャツ」「入浴代」「国保税」などもあった。

 市町村別の支援件数は、弘前市が84人と最も多く、青森市52人、八戸市36人だった。しあわせネット発足当時に参加していた社会福祉法人数は86だったが、現在は113に増えた。参加113法人の地域別内訳に見ると、各地域20法人前後だが、下北地域は6法人と少ない。

 弘前地域の支援件数が多い理由について、県社会福祉協議会の葛西裕美・社会貢献活動推進室長は「対応してくれる法人が多く、制度が比較的多くの人に伝わっているからではないか」と説明した。