ニュース
トップ

【鳥取県】

鳥取の障害者工賃、大幅増 独自支援で環境整備進む

山陰中央新報 2020年1月14日(火)
ニュース画像
東京の企業から請け負ったいなり寿司の製造に携わる「さんふくフーズ」の利用者。施設整備により、高品質な作業ができるようになり、障害者の工賃を押し上げる要因となった=米子市福市

 鳥取県内の「就労継続支援B型事業所」で働く障害者の平均工賃月額が大幅に伸びている。2017年度と18年度に全国で唯一、前年度比の増加額が2年連続1千円以上になり、平均月額も過去最高の1万9511円に。共同プロジェクトを展開する鳥取県と日本財団が旗振り役となり、高品質の商品を作るための施設への独自支援や、大口の作業を一括して受注できる共同作業所の整備が奏功し、環境が整いつつある。

 「収入がある分、生活が豊かになった」―。米子市福市のB型事業所「さんふくフーズ」で、東京などで土産物として人気のいなりずしの揚げを製造する山脇直人さん(46)の表情は明るかった。

 一般企業で働いていた30代前半で筋力が低下し手足が動かしにくくなる難病を患った。2年間働けなかった時期もあったが、「作業内容もやりがいがある」と同事業所を選んだ。

 同事業所の利用者約40人の平均月額工賃は18年度3万3857円で、16年度比で約2万円増えた。中には、6万〜9万円稼ぐ人もいる。工賃上昇のきっかけは日本財団の助成事業を活用した施設改修にあった。

 約3千万円をかけて凍結機など最新鋭の機器を導入し、80%は同財団の助成事業を充てた。鮮度を保った高品質の食品製造が可能となり、東京の企業から請け負う仕事が来るようになった。

 同事業所を運営するNPO法人「山陰福祉の会」の山中裕二理事長(40)は「一般企業との競争力がついた」と効果を話す。16年度創設の同財団の助成事業は10施設が活用する。

 18年度の県内の平均工賃月額は129事業所のうち、83事業所で前年度を上回った。2万円以上3万円未満が3増の35事業所、3万円以上が3増の15事業所と、全体の底上げが進むのは、県独自の共同作業所の整備も要因となっている。

 企業側がたくさん発注したくても事業所側が人員不足で多く受けられない受注作業の課題を解消するため、県が15年に鳥取市内に共同作業所「ワークコーポとっとり」を開設。現在は8事業所から約40人が集まり、菓子メーカーの仕事を中心に商品の梱包や検品を行う。

 県の委託を受け、同作業所を運営する県障害者就労事業振興センターによると、活用する約80%の事業所の工賃が伸びたという。17年度の工賃の伸びが全国1位となり超党派でつくる国会議員連盟に取り組みを紹介し、視察も相次ぐ。

 18年度の平均工賃月額は、島根県も前年度比539円増の1万9672円。全国順位では島根が4位、鳥取が5位だ。鳥取県障がい福祉課の小林一義課長補佐は「人口減が進む地方で障害者は重要な担い手になっている」と話した。