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【神奈川県】

児童虐待に専従係 県警、捜査体制強化 人材育成も

神奈川新聞 2020年5月21日(木)
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児童虐待の恐れがあるとして県警が児相に通告した子どもの数

 神奈川県警は4月、殺人や強盗事件などを担当する刑事部捜査1課に児童虐待事案を専門で扱う専従係を設置した。児童虐待の痛ましい事件は県内でも相次いでおり、経験豊富な警部をトップに17人態勢で、捜査体制の強化と専門的な人材育成を進める。児童虐待の専門部署は全国の警察でも先駆的な取り組みになる。
 児童虐待の専従係は、指導係と二つの捜査係で構成し、身体的虐待により死亡や重傷に至った事案を中心に扱う。指導係は各署と連携して捜査を指揮するほか、医師や児童相談所、検察など関係機関との調整を担う。捜査係は主に現場の捜査に当たる。
 捜査関係者は「けがや死因が虐待に起因するか否かを明らかにするには捜査段階から、複数の専門家の医学的知見を検討することが欠かせない。正確な知識で専門家と連携できる捜査体制を確立する必要がある」と強調する。専従係で経験を積む中で医師や児相関係者らと専門的にやりとりできる捜査員を育成、同時に関係機関との連携も強化し、捜査力の底上げを図る。
 県警によると、児童虐待の疑いで児相に通告した18歳未満の子どもは昨年、1万1119人(前年比30・3%増)に上り、過去最多を更新。全国でも同様の傾向で推移している。
 県内では児童虐待が事件化するケースが後を絶たない。生後3カ月の長男に暴行して重傷を負わせたとして、傷害罪で起訴された父親=横浜市西区=に、横浜地裁が昨年9月、懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡し確定。同12月には1歳半の長女に暴行し大けがをさせたとして、同罪に問われた母親=同市磯子区、上告中=が懲役5年6月の実刑判決を言い渡された。
 県警ではこれまで、捜査1課で主に殺人や強盗事件などを取り扱う強行係を中心に児童虐待事案を捜査してきたが、家庭内の密室で行われ、物証が得にくい上に目撃者も限られることが多いため、より専門的な捜査の必要性に迫られている。加えて、乳幼児を揺さぶって死亡させたり、けがを負わせたりしたとして起訴された親が、無罪判決を受けるケースが全国で相次ぐ。捜査関係者は「幼児から具体的な証言を得ることは困難。犯罪の証明が難しい事案だ」と明かす。
 幼児が犠牲となる悲劇を食い止めるために、捜査幹部は「初動対応が決定的に重要。事案を認知した際に的確に対応できるよう、各署との連携も密にし、捜査能力を向上させたい」と意気込む。