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【京都府】

「虐待SOS把握できない」教員苦悩 コロナで休校長期化、家庭訪問も限られ

京都新聞 2020年5月25日(月)
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見守りが必要な子どもに関する資料を確認する小学校教員(京都市内)

 新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長期化する中、学校が虐待リスクのある家庭の子どもの見守りを十分にできないことに関係者が悩んでいる。児童生徒や保護者の状況の把握には家庭訪問が必要だが、感染防止のため積極的にできず「SOSをキャッチしづらい」と懸念する。

 「家庭が不安定だと必ず子どもに影響が出る。把握には丁寧な関わりが必要だが、夏休みなどと違って『学校においで』と言えず、家庭訪問も短時間が原則なので厳しい」。京都市内の小学校の校長は明かす。
 この小学校では体調不良や子どもの発達特性などで保護者が子育てに困っている家庭が1割程度ある。外出自粛で地域による見守りも機能しにくくなっており、校長は教員に電話で保護者からの困り事の声に耳を傾け、助けてほしいというサインがあれば逃さないよう伝えているという。
 市教育委員会生徒指導課の担当者は「見守りが必要な家庭の割合は学校や地域で異なるが、どの学校にも必ずある」と説明する。休校が始まってからは見守りも考慮し、全ての家庭に週1回程度は電話か訪問で子どもの生活や健康、学習状況を確認するよう各校に通知した。
 一方で感染リスクがあるため、担当者は「積極的に訪問してくださいとは言えない」ともどかしさを語る。18日以降は児童生徒が登校できる日を設けるが、希望者のみなので目が行き届かない恐れがある。
 市の児童相談所によると、2018年度に虐待と認定された1670件のうち、通報は学校からが警察に次いで多く、152件に上る。休校に入ってから全体の通告・相談件数は例年と比べ大きく増減していないが、「自宅でずっと一緒でしんどい」などの相談は寄せられている。児相は「休校の長期化に伴い家庭内の問題が見えにくくなる可能性はあるので注意しなければならない」とする。
 京都府内の他の自治体も同様の悩みを抱える。宇治市教委は週に1、2回程度、家庭訪問や電話で子どもたちの様子を確認するよう伝えている。それでも心配なケースもあるといい、担当する教育支援課は「保護者と相談し、必要に応じて個別に登校させている学校はあるようだ。柔軟な対応で子どもを守りたい」としている。


■SNSで子に相談呼び掛けを

 子どもの人権に詳しい安保千秋弁護士(京都弁護士会)の話 子どもは親から虐待を受けていても、子どもにとっては自分の家庭が全てなのでそれが普通でないということが分からず、自分から外に助けを求めることは少ない。そのため周囲が気付いてあげることが重要だが、新型コロナウイルスの影響で家庭に閉じこもり、問題が見えにくくなっているのが心配だ。
 また虐待ほど重くないが、親子関係がうまくいっていなかった家庭が休校の影響で関係が悪化することも懸念される。私が関わる子どもシェルター「子どもセンターののさん」にも「家にいるのがしんどい。避難できないか」という相談が数件寄せられた。
 子どもたちは、地域で声掛けなどをすれば誰かに見守ってもらえていると感じ、SOSを出しやすくなる。いまは自宅にいる時間が多いので、会員制交流サイト(SNS)やテレビなどを使って悩みがあれば相談するよう呼び掛けてもよいのではないか。
 学童保育などの所属先がなく、気になる子どもたちにはこういう時こそ民生児童委員など地域の各種団体が連携して見守りをしてもらいたい。