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【神奈川県】

傷病者のプライバシー守れ ストレッチャー用カバー販売へ

神奈川新聞 2020年5月27日(水)
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ストレッチャーに装着し、傷病者の顔を保護するカバー=相模原市役所

 神奈川県相模原市消防局南消防署所属の救急救命士・大田貴広さん(47)が、ストレッチャーに乗せられた傷病者の顔を隠すカバーを考案した。会員制交流サイト(SNS)などの普及で、日々の出来事を手軽に発信できるようになる中、搬送時に周囲の目を気にする傷病者のプライバシーを保護する製品を思い付いた。今月から全国販売される。
 「ストレッチャー用プライバシー保護機器(PPカバー)」(長さ約45センチ、幅約56センチ)は不織布製。ストレッチャーに取り付け、横になった傷病者の頭部をすっぽりと覆うことができる。傷病者の体に触れずにセットでき、不要時は折り畳むことが可能だ。
 大田さんが考案するきっかけになったのは、2年前の救急事案。40代の女性が市内の百貨店で転倒し、右腕を負傷。出動した大田さんらは買い物客らでにぎわう店内から、ストレッチャーで救急車まで搬送した。その際、女性はずっと顔を隠そうとしていた。
 スマートフォンやSNSの普及で、写真や動画を簡単に撮影し、気軽に公開できるようになった。だがその分、事件や事故の現場でもスマホを向ける人が増え、被害者のプライバシーが侵害される危険性も増した。
 女性の様子に心を痛めた大田さんは「傷病者のプライバシーを保護する必要があるのでは」と思案。赤ちゃんを日差しから守るベビーカーの日よけから、ヒントを得た。
 大田さんのアイデアを製品化するため、市は共同開発する市内事業者を公募。自動車用部品やバイク用品などを手掛ける「ブロー」(同市中央区)が手を挙げた。市は2月17日、PPカバーの特許を出願。今月から同社が4万5千円程度で販売する予定。売り上げの一部は特許使用料として市の歳入になる。大田さんは「搬送される患者の心に寄り添えるよう、活用してもらえれば」と願っている。