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【神奈川県】

介護サービス、屋上で健康的に 密空間を避けデイケア移転

神奈川新聞 2020年5月27日(水)
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屋上テラスで過ごす利用者と滝口さんら(滝口さん提供)

 コロナ禍で、高齢者の生活を支える介護事業所の休業が全国で相次ぐ中、神奈川県鎌倉市小袋谷の通所介護施設「みどりや」は4月中旬、密空間を避けるために屋上テラスがついた建物に引っ越した。地域との触れ合いを大切にしてきた日常はコロナ禍で一変したが、運営する滝口裕一さん(54)は「来たい人が一人でもいる限り開け続ける。また楽しく外に出られる日が来るように」と収束を願って奔走する。
 「屋上テラスみどりや」に通所するお年寄りの新たな居場所は、ピンクや黄色、紫の花が咲く鉢に囲まれたビルの屋上テラス(約250平方メートル)だ。テーブルを囲んでコーヒーを飲んだり、食事をとったり、のんびりと過ごす。風通しの良い場所で歩行訓練にも汗を流し、約100平方メートルの屋内ではベッドや風呂なども利用できる。
 コロナ禍の前は近くのビル1階を拠点とし、外出も楽しんできた。滝口さんは「太陽の光を浴びて体を動かすことが利用者の楽しみで、健康にも大切。ずっと家にいると足腰も弱まり、認知症も進みやすい。密空間を避けるためにも屋外に」とテラスへの移転を決断した。
 17年前の開所時から地域交流を大事にしてきた。1人暮らしだったり、家族との会話がなかったりするお年寄りから「人と触れ合いたい」との声を多く聞いたのが原点だ。利用者は、近くの中学校へ部活見学に通い、野球部の生徒とあいさつを交わすようになった。保育園児が通りかかれば、ハイタッチに行くのが日常だ。「笑顔をくれるお礼に」と絵本や風鈴などを手作りして贈り、喜ばれた。
 そんな日常はコロナ禍で吹き飛んだ。外出を自粛し、通所を休止する人もいる。他県の施設では感染者集団「クラスター」が確認された。不安は消えないが、利用者らの通所を希望する声に応えるため、テラスに活動場所を移して消毒や検温なども徹底している。
 緊急事態宣言が解除されたとしても予防策継続が必要と感じている滝口さんは「また地域のみんなに会えるように頑張ろうと利用者と話している。明るく安全な生活の場のあり方を考え続けたい」と力を込めた。