ニュース
トップ

【徳島県】

徳大病院、遠隔病理診断で県内2病院と「ネットワーク」 医師不足対応・治療迅速化

徳島新聞 2020年5月29日(金)
ニュース画像
ネットワークの概要を説明する上原医師=徳島市の徳島大学病院

 徳島大学病院(徳島市)は、吉野川医療センター(吉野川市)、阿南医療センター(阿南市)と情報回線「遠隔病理診断ネットワーク」で結び、画像データによる遠隔診断に取り組んでいる。病理医が不足している両センターの診療機能の向上に力を発揮し、病気の早期発見・治療にもつながっている。

 徳大病院は、吉野川医療センターと2018年10月、阿南医療センターとは19年4月からネットワークの運用を始め、年間の診断件数はそれぞれ2200件、1200件に上る。両センターから送信される患者の細胞の画像データなどを徳大病院の病理医6人が解析し、診断結果を返している。

 徳大病院によると、吉野川医療センターは常勤の病理医が1人だけ。阿南医療センターには常勤の病理医がいない。

 ネットワークの導入前、吉野川医療センターでは難しい判断をする際に複数の医師による確認ができず、病理医1人にかかる負担が大きかった。阿南医療センターには徳大病院の医師が出向き、診断していた。

 徳大病院病理部長の上原久典医師は「診断結果を迅速に報告できている。早期発見・治療につながり、患者にもメリットが大きい」と話す。

 ネットワークを活用し、胃がんなどを判定するAI(人工知能)診断システムの実証実験にも参加。実験はシステムを開発した日本病理学会が主導し、徳大病院では両センターからの画像データ計60件について、医師の診断後にAIでも判定した。

 病理学会の北川昌伸理事長は「病理医が不足している徳島でAI診断の有効性が確認できれば、同様の環境にある他県にも広げられる」と述べた。

 〈病理診断〉患者の体内から採取した病変の組織や細胞で標本をつくり、顕微鏡で観察してがんの有無などを判断する。病理診断を専門とする医師を病理医と呼ぶ。2018年度の県内の病理医は18人で、全国で9番目に少ない。徳島大学病院では年間9000件の病理診断を行っている。