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【大分県】

訪問診療に軸足、佐伯市の「えがお」 通院が困難な患者対象に年中無休で巡回

大分合同新聞 2020年6月26日(金)
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佐伯市で訪問診療をメインとした在宅支援クリニック「えがお」を開院した山内勇人医師(右)。ロゴマークが入った車で利用者宅を巡回する

 【佐伯】佐伯市池田の在宅支援クリニック「えがお」(山内勇人代表)は県南地域で数少ない訪問診療に軸足を置いた医療を展開する。自宅でのみとりを希望する患者や、認知症などで通院が難しい高齢者らの自宅を医療スタッフが年中無休で巡回。最近は新型コロナウイルスの影響で入院患者の面会が制限されるケースもあり、家族と過ごす時間を確保できる在宅医療のニーズが高まっているという。
 今年2月に開院。介護老人保健施設「和の風」の一角に拠点を構え、代表の山内医師(53)が半径16キロ圏内の佐伯、津久見両市で診療する。
 対象は1人で通院できない患者。「えがお」のマークが入った乗用車で看護師と各戸を巡り、持ち運び可能な小型の医療機器と電子カルテなどを使って治療に当たる。患者は徐々に増えて現在、約40人。緊急時は24時間態勢で駆け付ける。
 利用が多いのは、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと希望する末期のがん患者ら。山内医師は「がん特有の痛みを和らげるなど、入院患者と同じようにケアをしている。患者と家族の不安を取り除くことを心掛けている」と説明する。
 この4カ月でみとった患者は5人。「それぞれ普段の生活の延長線上で、自然な死を迎えた。家族からも自宅でみとって良かったとの声を聞く」。内科だけでなく精神科の専門医でもあるため、環境が変わると病状が悪化することのある認知症患者も多く診ている。
 3月以降は新型コロナウイルスに伴う問い合わせが増えた。「院内感染を起こさないため、どの医療機関も面会には神経質になっている」と山内医師。入院すると家族と会うことが難しくなるため、自宅での治療を希望する家族から相談が寄せられるという。
 「患者が自分らしく、最期まで笑顔で生きていく手伝いをするのが医療。訪問診療により、コロナ禍でも患者の選択肢を広げることができる。まずは訪問診療の存在を多くの人に知ってもらいたい」と願う。
 問い合わせは在宅支援クリニック「えがお」(☎0972-24-2020)。

<メモ>
 県医療政策課によると、訪問診療を実施している医療機関は県内で356カ所、佐伯市内で28カ所。ほとんどは外来診療が中心で「えがお」のように訪問診療をメインに据えた医療機関は「あまり多くない」という。