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【長崎県】

発達障害「周囲の理解が大事」 子どもの心の問題 現状や課題を専門家に聞いた

長崎新聞 2020年7月7日(火)
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「発達障害がよく知られるようになり、受診する人が増えている」と話す小柳氏=諫早市、県立こども医療福祉センター

 〈心身症や発達障害、不登校などを専門に扱う小児心療内科医で、県立こども医療福祉センター(諫早市)の小柳憲司副所長兼医療局長が、著書「子どもの診かた・関わりかた」(新興医学出版社、2750円)を出版した。2007年の著書「子どもの心療内科」(同)を、医療の進展や社会の変化を踏まえ改訂。基礎知識や症状、治療、対応のポイントなどを分かりやすく解説した。多くの子どもの心の問題と向き合う小柳氏に、現状や課題を聞いた〉

 −小児心療内科を取り巻く現状は、近年どのように変化しているのか。
 以前に比べ発達障害がよく知られ、注目されるようになった。半面、その影響もあって「この子は発達障害じゃないか」と受診する人が増えている。子どもが授業や学校生活の流れに乗れないと、学校側が受診を促すことが多くなった。
 一方、使える薬が増えてきたことも大きな変化。注意欠陥多動性障害(ADHD)や、自閉症スペクトラム障害の薬が何種類も出ている。

 −以前に比べて使える薬が増えたから、受診が増えている側面があるのか。
 治療は本来、障害に対する周囲の理解を進め対応を変えることが第一だが、手間もかかるし、すぐには効果が出ない。薬は飲ませるだけでよいので、手っ取り早いと思われている。
 発達障害は集団生活の中で問題が生じやすいため、親よりも学校が「薬を出してもらえ」となりがちだ。社会適応上問題があれば「障害」だが、問題がなければ「個性」で済む。その「個性」の許容範囲が狭くなっている気がする。

 −その原因は何か。
 社会全体に、余裕がなくなってきているのではないか。学校現場は多忙で、家庭も子育てに経済的、精神的な余裕を持てないケースが増えている。

 −医師にとって子どもの診療で大事なことは何か。
 発達障害かどうか微妙な子の場合、本人にとって本当に診断が必要かを考えた上で、診断すべきだ。いわゆる診断基準はあっても、基準に該当するとみるかどうかは医師によって違うし、患者に診断を伝えるかどうかも、医師それぞれのポリシーに関わる。診断を伝えたほうが周囲が優しくなれて、本人も自己理解が進むのならば、伝えたほうがいい。
 発達障害の周知が進んだのはいいことだが、大事なのは、その子らしく幸せに生きられることだ。

 −私たちは発達障害がある子と接する際、何を心掛けるべきか。
 周囲がその子の発達障害を認識した上で本人に過度な負荷をかけないこと。できないことをさせたり要求すると過度な負荷がかかり、精神をむしばむ。「今はできなくてもいい」と言ってあげることが必要。逆に「できなくても仕方がない」と考えるのも間違い。障害があっても努力はすべきだ。できそうなことは、させていかなければならない。

 −著書について。
 十数年前に専門職向けの「子どもの心療内科」を出版したが、内容が古くなり書き換えたいと考えた。できるだけ分かりやすく書いたので、一般の人にも読んでもらいたい。不登校をはじめ、子どもの心の問題全般を取り上げており、関連する現場などで役に立てば。

 【略歴】こやなぎ・けんし 長崎市出身、県立長崎東高、長崎大医学部卒。専門は小児科学、心身医学。1993年から大阪総合医学・教育研究会こども心身医療研究所、96年からNTT西日本長崎病院小児科を経て、2001年から県立こども医療福祉センター。19年から現職。


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