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【神奈川県】

教育・保育の壁、コロナ禍が崩す 休校中は教員が学童支援

神奈川新聞 2020年7月15日(水)
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南足柄市の放課後児童クラブで支援員(左)とくつろぐ子どもたち(小田原福祉会提供)

 新型コロナウイルスの影響による臨時休校中、児童を終日預かる放課後児童クラブは大きな負担を強いられた。しかし、神奈川県南足柄市内の児童クラブでは、学校側が午前中の運営を担い、負担軽減に協力。コロナ禍が保育と教育の壁を破る契機となった。関係者は「地域で子どもを育てる仕組みを」とさらなる連携強化を考えている。
 同市の児童クラブは、もともと利用児童の保護者が運営していたが、2019年度から市が設置者となり、小田原福祉会(小田原市穴部、時田佳代子理事長)に運営委託している。同会は主に高齢者福祉のサービスを提供してきたため、児童クラブの運営は、保護者らの協力を得てスタートした。現在は南足柄市の各市立小学校(北足柄小を除く)ごとに設けられた5児童クラブで、1〜4年生の児童約340人を預かっている。
 ようやく運営が軌道に乗ってきたところに新型コロナが直撃した。同市立小は3月3日から臨時休校となり、これを受け児童クラブは午前8時半から終日開所。結果、児童クラブの支援員は長時間勤務に加え、感染防止のため児童の「3密」を避ける環境づくりにも気を遣い、「精神的にも疲労困憊(こんぱい)になっていた」(時田理事長)という。
 休校が新学期にも及び、収束が見通せない中、同会は「通常通りの終日開所は難しい」と市や市教育委員会と協議。4月からはひとり親家庭や仕事が休めない家庭の児童のみ預かる方針を告げ、「子どもにとってどうすれば最善か考えてほしい」と判断を市教委に任せた。
 市教委が出した答えは、学校も協力することだった。児童クラブは学校内などにあるため、午前中は教員が児童の保育を行い、午後は支援員に引き継ぐことにした。
 学校は文部科学省、児童クラブは厚生労働省の所管で、同じ建物を使っていてもあまり連携はなかった。それだけに市教委の申し出は「想像もしなかった」(時田理事長)。市教委の担当者は「コロナは前例にない事態。協力しないといけない。各校長にお願いしたら二つ返事だった」と振り返る。
 4月13日から教員による保育が始まり、市教委は「午前・午後を通しての保育は大変過ぎる。言われてみればそうなのに、気付かなかった」と話す。日々の引き継ぎで教員と支援員の交流も深まった。預かる児童の相談のため、教員が支援員の携帯電話に直接連絡することも。児童クラブへの理解が深まり、体育館や図書館などの学校施設が利用しやすくなったという。
 時田理事長は今回をきっかけに「児童クラブでは虐待などの子どもの小さな変化も早い時期にキャッチできる。学校と連携して心配な子どもを守る仕組みづくりができれば」と期待している。