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【和歌山県】

介護現場にもICT 88歳がオンラインデビュー

紀伊民報 2020年9月15日(火)
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タブレットに映る娘に向かって話す女性(和歌山県上富田町生馬の特養「愛の園」で)=施設提供

 新型コロナウイルスの「第2波」が落ち着いてきた後も、介護現場には緊張が続いている。外部からの立ち入りを制限する中で、家族との面会にオンラインを導入する施設も出てきた。まだまだ普及はしていないが、コロナ禍で介護の世界もICT(情報通信技術)の活用が広まり始めている。

 和歌山県上富田町生馬の特別養護老人ホーム「愛の園」で暮らす女性(88)は、アプリのビデオ通話機能を使って東京に住む次女(54)と面会している。職員にタブレットを設定してもらい、画面に映る次女の問い掛けに応じる。1回の面会で10〜20分程度、会話するという。

 次女は「今春に始めた当初、母は『テレビに娘が映っている』と驚いた様子で戸惑っていたが、少しずつ慣れてきた。反応を見ながら話せるのはうれしい」と喜ぶ。

 以前は1〜2カ月に1回、施設を訪問していたが「母や周囲に感染させてしまったら、いろんな人に迷惑が掛かる」と面会を諦めていたところ、施設側からオンラインを提案された。

 施設では田辺市でクラスター(感染者集団)が発生してしばらくは、面会を完全に中止していた。現在は再開しているが、午前と午後に各2組までに限定し、完全予約制。その代わりに東京や大阪など遠方に住む家族向けにオンライン面会を提案している。地元にいる家族の利用もある。

 しかし、施設利用者はもちろん、利用者の家族も50歳以上が多く、オンラインの仕組みには慣れていない。施設内は無線通信でインターネットに接続するWi―Fi(ワイファイ)環境が整っておらず、職員も試行錯誤しながら対応している。

 面会以外にも、介護現場のさまざまな業務でICTは広まりつつある。「愛の園」でも職員用の会員制交流サイト(SNS)を導入し、情報共有に活用している。職員が一堂に集まっていた定期研修会にも動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用。それぞれが都合の良い時間帯に取り組めるようになり、研修後のリポートも質が高まっているという。

テレビ電話は最下位


 一般社団法人「人とまちづくり研究所」が5月、介護関係15団体を通じ、全国6千事業者を対象にした調査では、コロナ下での事業者と利用者や家族とのコミュニケーション手段で最も多かったのは「電話」で91・9%。

 2位以下は「訪問・来所(41・3%)」、「連絡ノート(38・0%)」、「電子メール(14・4%)」。「テレビ電話・会議」は8・5%で最下位だった(複数回答)。