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【福岡県】

養蜂で探る「農福連携」 蜂蜜収穫成功、商品化目指す

西日本新聞 2020年9月23日(水)
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蜂蜜が詰まったニホンミツバチの巣を取り出す舛本さん(右)ら

 障害者支援に取り組む社会福祉法人「あすなろ学園」(北九州市小倉南区)が、同区新道寺で運営する「障害者支援施設母原」でニホンミツバチを試験的に飼育する取り組みを進めている。障害者が農業に携わる「農福連携」の可能性を探る取り組み。15日には利用者や職員が蜂蜜採取に初めて成功した。

 養蜂の指導役は、小倉北区の山田緑地でニホンミツバチを飼育しているNPO法人「グリーンワーク」の舛(ます)本哲也会長(61)が担当している。

 舛本さんによると、ニホンミツバチは主にシイやカシといった樹木からミツを集める。広く流通しているセイヨウミツバチによる蜂蜜よりも、採取できる頻度は少なく「甘さが控えめでまろやかなのが特徴」という。

 同施設母原での養蜂は昨年から。養蜂に適した場所を探していた舛本さんが、周辺に樹木が生い茂る同施設母原に協力を求め、同年春に初めて巣箱を設置。自然にニホンミツバチが営巣したが同年夏ごろ、野生動物のしわざなのか巣箱が倒れてしまい、蜂蜜は集められなかった。

 今年は、一般社団法人「トウヨウミツバチ協会」(東京)による「養蜂の農福連携の可能性を探る事業」を受託して実施。事業は全国11カ所、うち九州3カ所で展開。同施設母原以外に豊前市と鹿児島県霧島市で実施されている。

 同施設母原では6月に築上町の養蜂家から巣箱2個を譲り受け、利用者や職員がほぼ毎日、ミツバチの様子を見守った。1個は女王バチがいなくなり採蜜困難となったが、もう1個は順調に採蜜時期を迎えた。

 15日は利用者や舛本さんらが防護服に身を包み、巣箱のふたを取り外して蜂蜜が詰まった巣を取り出して蜂蜜約3・8キロを収穫。味見した利用者の瀬尾忍さん(61)は「甘くておいしい。巣が大きくてびっくりです」と話した。

 同法人は同施設母原で来年も事業を続け、将来的に商品化を目指す方針。吉田貴志施設長は「蜂蜜の瓶詰めやステッカー貼りなど、障害者それぞれの能力に合わせて工程を分担することで、就労につなげられる可能性がある」としている。