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【岩手県】

要約筆記者 登録進まず 岩手県内、高齢化で引退多く

岩手日報 2020年10月16日(金)
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ボードに文字を書いて伝える要約筆記者。県内の登録者数は横ばいの状況が続いている=盛岡市・県立視聴覚障がい者情報センター

 手書きやパソコンで聴覚障害者に言葉を伝える「要約筆記者」の岩手県内での登録が進んでいない。本年度当初の登録者は78人で5年前の80人からほぼ横ばい。高齢化による引退などが背景にある一方、今年は新型コロナウイルスで周知活動も影響を受けた。盛岡市の県立視聴覚障がい者情報センター(大芦洋悦所長)はニーズに対応するため、養成講習会の参加を呼び掛けている。

 要約筆記者は話された内容を要約し、手書きやパソコンで文字を画面に映して言葉を伝える。手話通訳に慣れていない中途失聴者や難聴者に有効な情報伝達手段だ。講演会や催しに加え通院や役所での手続き、冠婚葬祭などあらゆる場面で活動する。

 要約筆記者で同センターの野中信子情報支援員(64)は「誰かの役に立つことは幸せで、責任が大きいからこそ『よく分かった』と感謝されることがやりがいになる」と語る。

 同センターによると、4月の県内の登録要約筆記者は手書き50人、パソコン34人。6人は両方が可能。近年80人前後で推移するが、仕事や家庭の事情で実働できる人は限られる。同センターの2019年度の派遣実績は約80件だった。

 速さや正確性、要点整理の技術が求められ、現場での経験も重要だ。ただ中核を担う60代前後の登録者が、高齢などを理由に一線を退く例が増えているのも実情。手話通訳に比べ、あまり知られていないことも壁となり、登録者数は伸び悩む。

 同センターは本年度、新規登録者の確保や次世代育成を目指し、大学などで若い世代へ周知を予定していた。しかしコロナの影響で多くがオンライン授業になり、学生対象の説明会も断念せざるを得なかった。

 同センターの小原淳主任情報支援員は「耳の聞こえない人たちの権利を守る仕事は、よりよい社会づくりに貢献することにもなる。関心を持つきっかけにしてほしい」と講習会への参加を期待する。