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【長崎県】

生き方見つける力を ひきこもりの若者らを支援 グループホーム「おえん」来月設立 長崎

長崎新聞 2020年11月20日(金)
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新築のグループホームは入居者が過ごしやすいよう、さまざまな工夫がされている。丸尾さんは「家族と社会の境界線上にある“おえん”のような場所になってほしい」と語る=長崎市内

 不登校やひきこもりなど、生きにくさを抱える若者やその家族のサポートをするNPO法人「心澄(しんじょう)」(宮本鷹明理事長)は、12月1日に若者専門のグループホーム「シェアホームおえん」を長崎市内にオープンする。家庭に課題を抱える若者や行き場がない若者を対象とし、地域での生活に移行することを目標に入居期間(3〜5年)を設ける通過型の施設。心澄によると、同様の取り組みは長崎県内初という。
 さまざまな課題を抱える若者が“疑似家族”として共同生活し、対人関係や日常生活を送る技術を身に付けてもらう。入居中に進路や仕事、生き方を見つける力を育み、地域での生活に移ることが目標だ。「おえん」は長崎の方言で縁側の意味。家族だんらんの場であり、外との接点でもある縁側のような場所になってほしい、との願いを名前に込めている。
 設立から11年を迎えた心澄。長年、相談を受ける中で感じていた後悔が、グループホームを設立する背景にあるという。ホームの管理者兼世話人の丸尾奈央子さん(34)は「これまでは、『家がきつい』と繰り返し駆け込んでくる相談者でも、話を聞いて落ち着いたら、帰らせなければならなかった」と明かした。
 家庭で虐待を受けるなどして行く場所がない若者たちは、ほとんどが児童相談所に行くか精神科に入院するという。ただ一度入院すると、数カ月間学校に行けなくなったり、退院後も元の場所に復帰しにくくなることもあるという。「もう少し落ち着く時間と場所があれば入院するほどじゃないのに」。そういう人の「逃げ場所候補」にもなってほしいと願っている。
 丘の上に立つ木造2階建てのモダンな建物。「おえん」の“入り口”の大きな窓を開けると、スギをふんだんに使ったカフェのようなリビングルームが広がる。部屋の奥にある広めの縁側からは、市中心部の景色を見渡すことができた。
 ホームには24時間スタッフが常駐。入居者は原則18歳〜30代で、長期(3〜5年)の定員は10人。リビングやキッチンは共用で、お風呂や計12部屋ある個室は男女で階が分かれている。運営は、国の共同生活援助事業に伴う補助金などでまかなう。家賃は3万6千円で、生活費は原則3万4千円。現在4人の入居が既に決まっている。
 対人関係に難しさを感じている人や精神的に不安定な人でも過ごしやすいよう、ホームにはさまざまな工夫がされている。リビングの数段上に設置された畳部屋もそのひとつ。直接だんらんの輪の中に入れなくても、みんなのことが見えたり音が聞こえたりするので、同じ空間にいると感じられるようになっている。複数の勝手口があるのは、人と顔を合わせたくないときに直接、個室に帰るための工夫。ほとんどの扉を引き戸にしたのは、万が一の事故を防ぐためだ。
 丸尾さんは「若年者は人生1番の変わり目。安心できる環境の中で、自分のことを考える時間、人とのつながりを学ぶ場所になってほしい」と話した。
 住所は非公表。問い合わせは「おえん」(電080.6471.7909)。