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【岐阜県】

障害者相談窓口とおもちゃ屋構え20年

岐阜新聞 2020年12月22日(火)
ニュース画像
木のおもちゃが並ぶ店で、障害のある子の親らの相談に応えている上村数洋さんと妻の八代衣さん=岐阜市橋本町、Kid’s Dream

◆アクティブG 福祉工房上村さん 悩み打ち明けて 自身も交通事故で頸椎損傷 「社会との接点に」
 今年、開業20周年を迎えた岐阜市橋本町のアクティブGで、当初から店を構えるおもちゃ屋がある。福祉工房「Kid's Dream」だ。温かみのある木の玩具がそろう小さな店は、障害児の親らの相談窓口を兼ねてきた。コロナ禍で対面の応対が難しくなる中、工房の代表で自身も身体障害者の上村数洋さん(73)は、多様な人が集う場として店を開き続けたいとの思いを強くしている。

 穴や溝のある積み木をつないでビー玉を転がす玩具、サンタクロースの人形−。北欧の知育玩具を中心に多彩な木のおもちゃが並ぶ店の奥に、「障害児なんでも相談コーナー」の看板がひっそりと掲げられている。
 上村さんは39年前、交通事故で頸椎(けいつい)を損傷、四肢の機能を失った。「私に何ができるだろう」。妻八代衣さんと二人三脚で絶望の淵から再起し、パソコンのバリアフリー化に向けた開発に携わり、身体障害者の暮らしや就労を支援。同じ障害を抱える人たちの連絡会を設立し、自治体担当課との意見交換の場を設けるなど社会参加の促進に奔走した。献身的な活動により、アクティブGの開発を担った県から出店の打診を受けた。「私のような動けない者に行政が声をかけてくれた。それがうれしかった」
 当初は相談窓口がメインで、車椅子を使う人たちの就労の場にもなった。相談に来る親らの声に応えるうち、木の玩具が増えていった。「北欧では障害児の訓練に使えるおもちゃが当時からたくさんあった。木の玩具には使う人を選ばない多様性がある」と語る。
 アクティブGの中で3度場所が替わり、店が狭くなったことで就労の場としての当初の役割は失われた。それでも窓口には毎月15件ほどの相談があり、近年は発達障害など身体障害以外の相談が増えている。国の緊急事態宣言が出た4、5月も、電話やメールに切り替えた窓口への相談は絶えず「親たちの不安を肌で感じた。自粛するわけにはいかない」と対応を続けた。
 この20年の間に障害者福祉を取り巻く制度は大きく変わり、共生社会の実現が目指されるようになった。だが「社会参加を阻むのは人の目や心。障害のことを本音で話しづらい状況は今も変わっていない」と、相談に来る人たちを見て感じている。JR岐阜駅に隣接する便利さは、図らずも地元のコミュニティーでなく遠方の同工房を頼りたいという当事者の声に応える強みにもなった。「一見ただのおもちゃ屋さんに見える雰囲気だからこそ、隠れたニーズをすくい取れる」
 さまざまな人が行き交う駅の近くで、日々笑顔で客を出迎える。「誰かに打ち明けることで前向きになれる。これからも社会との接点であり続けたい」と語った。

【記者のひとこと】
 障害の有無にかかわらず人と人とが交わるためにはどうしたらいいか。新型コロナウイルスの感染拡大によって互いに距離を取るように求められる中で、ついつい思考停止に陥りそうになる。それぞれに関心と理解を深めることが、共生社会への一歩になるはずだ。


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