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【青森県】

診療科の枠超え腎移植チーム、弘前大が実績着々

東奥日報 2021年1月13日(水)
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脳死腎移植を行う移植チーム=2020年8月、鷹揚郷弘前病院(弘大病院提供)

 弘前大学医学部付属病院が2005年、診療科の枠を超えた腎臓移植チームを結成して以来、これまで実施した腎移植は139例となった。16年前、医師不足のため移植ができない状況で結成されたチームは現在、鷹揚郷腎研究所弘前病院、八戸市民病院とも連携。診療科や施設の枠組みを超えた腎移植体制は全国でも珍しく、「弘大方式」として注目を集めている。

 弘大病院で1例目の腎移植が行われた1967年以来、長い歴史を持つ同病院の腎移植が途絶えたのは2004年と05年。新しい臨床研修制度が始まったことなどで、若い医師が都市部に流れ、医師不足が深刻化。腎移植を担当する泌尿器科学講座の医師も一時期7人に減少し、移植希望者は県外に行かざるを得ない状況に陥った。

 05年、泌尿器科の大山力教授(現病院長)が中心となり、診療科を超えた腎移植チームを結成。消化器外科、腎臓内科のほか、病理、薬剤、麻酔など各部の協力を得て06年6月、チーム1例目の移植を成功させた。その後実績を重ね、17年には100件に達した。

 これまでの139例のうち、健康なドナーから腎臓提供を受ける「生体移植」は124例。脳死・心肺停止の人の腎臓を移植する「献腎移植」は15例。生体は主に弘大病院で、献腎は鷹揚郷弘前病院で行うなど役割分担している。八戸市民病院で脳死の臓器提供があった場合にも、弘大のチームが鷹揚郷弘前病院のスタッフとともに支援している。

 20年前半は新型コロナウイルスの影響で、腎移植を控える施設が多くなったため青森県に移植が回ってくる事例が増加。4月から8月までの5カ月で行った脳死腎移植は5例に上り、移植チームの活動機会が増えた。

 腎臓病の根本治療は移植しかなく、長年、移植を待っている県内の患者にとって、チームの活動は希望の光となっている。人工透析を26年間受け、生体移植を受けた人もいた。

 大山教授は「組織横断的な取り組みは、限られた医療資源の中で課題を解決する策として他の医療分野でも活用できるのではないか」とした上で、「大切なのは、移植チームの継続と臓器移植全体の普及・啓発。今後も若い移植医を数多く養成し、移植医療の普及に努めたい」と語った。