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【秋田県】

白杖掲げるSOS合図、広めよう 視覚障害者、雪道ひやひや

秋田魁新報 2021年2月1日(月)
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 視覚に障害のある人が外出する時、歩行の支えとなるのが点字ブロックや縁石などの凹凸だ。通り慣れた道なら、頭の中にあるイメージも歩行の頼りになる。だが、雪が降り積もるとその環境は一変する。雪道には、どんな危険があるのか。視覚障害のある県立視覚支援学校(秋田市南ケ丘)の教員に聞いた。

 「普段なら、考えられないような間違いをしました」。網膜色素変性症の佐々木道吉さん(66)が今月半ばのある出来事を振り返る。

 午後6時すぎ、学校からの帰宅途中のことだ。いつものように家の近くのバス停で路線バスを降りると、外はものすごく強い雨と風だった。前日に降った雪がぬかるんで歩きにくい。片手で傘を差し、もう片方の手で白杖(はくじょう)を握った。

 佐々木さんは視野の中心部が見えづらい。このため普段から白杖を使い、杖(つえ)の先で触れた点字ブロックや道路の縁石、電柱などの手応えを頼りに歩く。いつも通っている道なので「どこを曲がるか」「どれくらいの距離を進むか」といった情報も頭に入っていた。しかし、この日は曲がるべき角を通り過ぎてしまった。

 「雨や足元の雪に気を取られた」と佐々木さん。歩き続けるとどんどん雪が深くなり、「ここは道路ではない」と感じた。直後、雪にはまって動けなくなった。だが通り掛かった数台の車が止まることはなかった。

 何とか自力で抜け出せたが、自分が今どこにいるのか見当も付かない。「いかん」と焦り始めた。家にいる家族に助けを求めようにも、場所自体が分からないのだ。

 そんな時、近くに車が止まる気配がし、運転していた男性が降りてきて「お困りですか」と声を掛けてくれた。自分がいる場所を男性に尋ねると、家とは全く逆の方向に歩いていたことが分かった。

 「男性に声を掛けてもらえなかったら、どうなっていたか。本当にありがたかった」と佐々木さん。男性は「足元が悪いし送ります」と申し出てくれたが、自力で戻れる状態になったので何度もお礼を伝えて別れた。

 「どこが雪深いかも分からない。冬は、ひやひやすることの連続」。佐々木さんは改めて語った。

 視覚障害のある人たちが雪道で困ることは、他にもある。雪のまぶしさだ。

 ロービジョン(弱視)の人たちは、全く見えないわけではなく、ぼんやりと物の輪郭が見える。しかし新雪が積もると太陽の光が反射し、輪郭すら見えづらくなるという。

 同校の水谷亨さんは(41)は横断歩道を渡り終えようとした時、歩道の入り口が分からなくなったことがある。普段は周囲の建物などを頼りにしているので迷うことはないが、雪に光が反射して一面が真っ白に見え、見分けがつかなかった。信号が赤に変わりそうだったので急いで進んだところ、深く積もった雪に突っ込んでしまった。

 ◇  ◇

 除雪によってできた雪の山に沿って歩くうち、道に迷ってしまったのは同校の望月秀樹さん(47)だ。「雪の塊がどれくらいの大きさなのか見当が付かず、回り道をしているうちに方向感覚を失ってしまった」

 車道と歩道が分かれていない道だったり、歩道が除雪されていなかったりする場合、車道を歩かねばならない。

 雪で道幅が狭くなっているにもかかわらず、車がスピードを落とさずに体すれすれに通り過ぎ、怖い思いをしたこともある。走行音の静かな車だったり、風が強かったりすると、車が近づいていることすら分からない。

 望月さんは「視覚障害者にとって、冬の外出は危険が多い。白杖を持っている人がいたら、スピードを落とすなどして気に掛けてほしい」と話した。

 視覚障害のある人が白杖(はくじょう)を頭上に掲げるポーズがある=写真。「白杖SOSシグナル」と呼ばれ、外出先で道に迷ったり困ったりしたとき、周囲に助けを求める合図だ。

 この合図は1977年に福岡県盲人協会が提唱し、東日本大震災をきっかけに周知が図られるようになった。だが十分に広まっておらず、視覚障害者の中でも知らない人がいるという。

 同校の望月秀樹さんは「SOSの合図を出していなくても白杖を持って困っていそうな人がいたら、しばらく見守ってもらいたい。困り続けているようなら、ぜひ声を掛けてみてほしい」と話した。


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