
旧小田小跡地にできた福祉施設の内覧会で、食事をしながら施設スタッフ(中央)の話を聞く住民ら=玉名市
熊本県玉名市で2018年に閉校した6小学校のうち、上小田の旧小田小が福祉施設として、三ツ川の旧三ツ川小がキャンプ施設として生まれ変わった。いずれも民間事業者が買い取って活用。事業者は住民が立ち寄りやすく改装するなどし、地域に根ざした施設づくりを目指している。
旧小田小では、NPO法人地域たすけあいの会(玉名市)が、市内にあった本部を移転し「たすけあいの里・小田」をオープン。校舎を改装し、本部機能に加え、障害者の就労支援や宅配給食、訪問介護など、5事業の拠点にもなっている。
図書室や体育館、校庭は地域住民も利用することができて、災害時は自主避難場所として開放する。施設代表の渡邊ヘ之[みちゆき]さん(63)は「小田には、地区対抗の駅伝など全世代が参加する地域行事が残っていて驚いた。地元の人にたくさん使ってほしい」と呼び掛ける。
昨年秋には住民向け内覧会を実施。近くの小森田絹代さん(70)は「久しぶりに来たが、子どもたちが作った展示物がそのまま残っていてうれしい。明るくおしゃれな空間に生まれ変わっている」と喜んだ。
南関町との境にある旧三ツ川小は、福祉施設やホテル事業を展開する「立願寺温泉企画」が買収した。幅広い世代が楽しめる施設をコンセプトに「三ツ川ふれあい村」と名付けて整備。現在は校庭を有料のキャンプ場として開放し、週末はキャンパーでにぎわう。
昨年12月に夫婦で訪れていた荒尾市の会社員大西諒さん(31)は「市街地に近いが、夜は静か。星もきれいで最高」と笑顔を見せた。
「今後は有料老人ホームのほか、地元農産物を売る物産館やレストランを整備して、地域の人が来やすい施設にしたい」と同社の北村和則社長(66)。
学校跡地活用事業を担当する市企画経営課の石貫誠哉課長(52)は「事業者は、閉校しても地域と学校がつながるよう工夫しており、市としては期待通り」と話している。(熊川果穂)
玉名市の小学校統廃合 玉名市は2018年、玉名、小田、三ツ川、梅林、石貫、月瀬を閉校。6校を統合して玉陵小を新設した。21小学校をおおむね中学校単位の7校に集約する「市学校規模・配置適正化基本計画」の第1弾。閉校の6校のうち、玉名は3月開院のくまもと県北病院に、石貫は文化財保管施設に利活用することが決まっていた。他4校は公募型プロポーザルで民間事業者を募集し、小田と三ツ川は買収済みで、梅林は買い取る民間企業が決定。月瀬は決まっていない。