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【秋田県】

秋田県、「ケアラー」支援本腰 相談体制構築、実態調査も

秋田魁新報 2021年2月12日(金)
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 秋田県は2021年度から、家族や近親者を無償で介護、看病する「ケアラー(家族介護者)」の支援を本格的に始める。実態調査と啓発事業の実施に加え、相談体制を構築する方針。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」や、18歳未満の「ヤングケアラー」の存在が全国的な問題となっており、支援体制を整えたい考えだ。

 県長寿社会課によると、ケアラーは「家族が介護するのは当たり前」といった義務感などで、心身の負担や悩みを抱えている人が多いと想定される。特に親や祖父母の介護などを担うヤングケアラーは、負担が大きいと学業や進路にも支障が出ると指摘され、老老介護、育児と介護を同時に行う「ダブルケア」を含めて社会問題となっている。

 埼玉県は昨年3月、全国初の「ケアラー支援条例」を制定。「ケアラー支援は(中略)ケアラーが孤立しないよう社会全体で支えるように行われなければならない」と基本理念を定め、体制整備を行うとした。厚生労働省も現在、全国の国公立中学校、高校を対象にヤングケアラーの実態調査を行っている。

 県は21年度、関係機関と連携したケアラー全般の実態調査を実施する予定。ケアラーの概念を広く知ってもらうため、セミナー開催や情報発信を行う。主に若い世代を対象に会員制交流サイト(SNS)を活用した相談体制づくりや、オンラインでの当事者交流の場を提供することも計画する。

 県長寿社会課の担当者は「相談先は現在もあるが、知らずに苦労している人がいる。適切な窓口に橋渡しできる体制が求められている」とする。

 地域包括支援センターや居宅介護支援事業所など、関係機関の連携強化にも取り組む。支援に当たるケアマネジャーらの技術向上に向けた研修を実施するほか、条例制定に向けた研究も進める。

 本県は高齢化率が全国一で、介護や看病が必要な人は今後さらに増えると見込まれる。同課の担当者は「ケアする人が悩み、共倒れにならないよう、関係部署と連携し支援の取り組みを進めたい」と話している。

【「老老介護」把握4割、県内ケアマネ調査】
 県介護支援専門員協会は昨年11月、会員のケアマネジャーを対象にケアラーに関するアンケートを実施した。県内でも老老介護やヤングケアラーの存在が確認された。

 アンケートは856人にオンラインで行い、373人(43.6%)から回答があった。「ケアラー、ヤングケアラーの概念を知っている」が43.4%で、専門職のケアマネジャーでも理解が進んでいないことが浮かび上がった。

 「周囲や支援する利用者の家族などにケアラー、ヤングケアラーがいる」は39.4%。「いる」との回答のうち、ケアラーの性別は女性が約7割で、年代(複数回答)は60〜74歳が最多だった。

 75歳以上の「老老介護」を把握しているケアマネジャーは約38%で、ヤングケアラーを把握しているのは約5%だった。ケアする相手は親(義父母含む)、配偶者が多かった。

 「介護などを担うことでケアラーの活動が制限されていることはあるか」との質問には「自分の時間が取れない」「仕事を休まなければならない」「精神的負担が大きい」などの回答があった。

 必要な支援策として「家族が相談しやすい環境を整備する」「適切なサービスを受けられるようにする」「ケアラーが本人の状況を認識し、身を守れるよう教育や相談を行う」といった点を挙げる人が多かった。