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【徳島県】

徳島発の移動スーパー・とくし丸 コロナ下、高齢者の支えに

徳島新聞 2021年5月6日(木)
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商品を手に「とくし丸」の利用者と言葉を交わす販売パートナーの松原弘幸さん(右)=徳島市

 コロナ禍で多くの高齢者は外出に不安を感じ、近くに住む家族にも頼りにくい。「買い物弱者」を支えようと9年前に徳島で生まれ、全国に広がった移動スーパー「とくし丸」を心待ちにする人は増えている。

 「とく、とく、と〜く、とくし丸」。軽快なメロディーを響かせ、冬の住宅街を走る軽トラック。荷台を開くと、棚いっぱいに積まれた商品が目に飛び込む。肉や魚、野菜などの生鮮食品からトイレットペーパーや洗剤といった日用品まで、その数およそ1200点。街角に小さなスーパーが出現する。

 「あれはないの?」「今日はないから次回持ってきます」。徳島駅から北西に約3キロ。徳島市矢三地区を担当する「販売パートナー」の松原弘幸さん(38)はこの日、地元スーパーの商品を載せて約20カ所を回った。

 住んでいる場所によっては最寄りのスーパーまで自転車でも15〜20分かかる地域。「お兄ちゃんが来てくれるけん、生き永らえている。来週も来てね」と手押し車の女性(93)。

 とくし丸は、各商品の代金が店舗より10円プラスされる仕組み。スーパーから委託された販売パートナーは利用者の好みやニーズを思い浮かべながら、商品の積み込み方にも工夫を凝らす。

 コロナは移動販売の風景も変えた。全国に緊急事態宣言が出された昨春。「マスクはないの?」と尋ねる人は少なくなく、松原さんは消毒液などを含め棚の目立つ場所に置いた。こうした感染対策商品は、じきに入荷しなくなった。「お客さんの要望に応えられず、異例の事態と感じた」

 地区の有料老人ホームでは、面会制限で家族からの差し入れがなくなった人からの注文が1・5倍に。デイサービスの施設でも利用者がスーパーに出掛けるのを控え、販売額が増えた。

 とくし丸は各地のスーパーと提携し、全国に758台、徳島県内では30台が稼働(4月22日時点)。運営会社「とくし丸」(本社・徳島市)によると昨春は利用者が増えた。全国で感染拡大前と比べて1台当たりの販売額は1割程度増え、1日の平均は10万円を超える月が多い。

 「会うのは松原さんだけなので感染の心配もない。助かる」と1人暮らしの女性(89)。「何があっても、お客さんの生活、人生の一部として走り続けたい」。松原さんは決意を込め、今日もハンドルを握る。


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