
手書きによる要約筆記が披露された体験講座=岐阜市都通、市民福祉活動センター
講演などの話し言葉をその場で文字に変換して聴覚障害者に伝える「要約筆記」を紹介する体験講座が、岐阜市都通の市民福祉活動センターで開かれた。要約筆記は、手話が苦手な聴覚障害者を支える重要な手段だが、認知度は低く、できる人も少ない。関係者は、参加者に要約筆記の特徴ややりがいを説明し、担い手育成の必要性を訴えた。
NPO法人ぎふ難聴者協会(加藤千津子理事長)と、要約筆記者らでつくるNPO法人ぎふ要約筆記かがり火(堀秀子理事長)が主催。7月から同協会が要約筆記者の養成講座を開く予定で、募集を兼ねて開いた。
両法人によると、聴覚障害者の中でも、特に人生の途中で耳が聞こえなくなった「中途失聴」の人は手話が使えない人も多い。文字で伝える要約筆記ができる人材の需要は高いが、認知度はまだ低いという。
体験講座では、かがり火の会員が略語や略称、略号を活用する要約筆記の技術などについて講演し、別の会員が実際にその話を手書きによる要約筆記で文字化して壁に投影してみせた。聴講者6人は、手書きやパソコン入力による要約筆記に挑戦し、伝えるやりがいを体験した。
自身も中途失聴者の加藤理事長は「耳が聞こえなくなると人から声をかけられるのが怖くなり、うつ状態になってしまう。手話が苦手だと文字情報が頼り。初めて要約筆記と出合ったときはうれしくて涙が出た」と話し、担い手が増えることを願った。
要約筆記者の養成講座は7〜12月に同センターで計21回にわたり行われる。問い合わせは同協会、電話058(266)0827。