
車いす綱引きで後ろ向きに車輪を回す子どもたち=尾張旭市旭中で
障害の有無や年齢、国籍、性別を問わず誰もが参加できる「ごちゃまぜ運動会」が18日、愛知県尾張旭市旭中体育館で開かれた。発案者は、次第に筋力が低下する難病「重症筋無力症」で、昨年4月に肺炎のため39歳で亡くなった同市の押富俊恵さん。思いを引き継ぎ、市民らが3年ぶりに再開した。
生前に押富さんが代表を務めた同市のNPO法人ピース・トレランスが運営し、4回目。代表を継いだ河内屋保則さん(65)は、押富さんがこの運動会について「子どものころから障害を身近に感じてもらう狙いがあると言っていた」と振り返る。今回から同市による委託事業の形が取られ、同市福祉課の担当者は「まさに地域共生といえる取り組みでぜひ続けてほしい」と申し出たという。
市内の福祉事業所や放課後児童クラブを利用する公募の市民とボランティアら計192人が、赤と白チームに分かれて参加。全員で輪になり、音楽が止まるまで隣の人にボールを渡し続ける「ボール渡し」など8種目を競った。車いす体験を兼ねた「車いす綱引き」では、子どもたちが車いすを後ろに動かす動作に戸惑いながらも、力いっぱい車輪を回した。
「車いすパンつかみ競争」で、同市旭東中3年で支援学級に通う小島健慎さん(14)は「パンが取れてうれしかった」と笑顔を見せていた。
押富さんの母親のたつ江さん(70)も見学し、「みんな楽しんでいて、これからも続くといいですね。娘もきっと喜んでいると思います」と話した。
(西川侑里)