
廃棄予定の古本を自由に立ち読みできる「irodori古書店」
倉敷市水島西栄町の就労移行支援事業所「irodori(いろどり)」が、廃棄予定の書籍を買い取り、自由に手に取ってもらう「立ち読み店」の活動を進めている。古本の有効活用とともに、住民らの立ち寄り場所としての役割を期待。催しなどを通じ障害者の就労体験の場にもなっている。
身体、知的など障害がある約20人が一般就労を目指し訓練に励んでいる同事業所。利用者が就職した古本販売店から毎月本を廃棄せざるを得ない現状を聞き「何かできることを」と1月末にスタートさせた。「irodori古書店」と名付け、月2回のペースで土曜日に行っている。
開催日には漫画を中心とした約2500冊が事業所内に並ぶ。扱うのは「鬼滅の刃」「逃げるは恥だが役に立つ」といった話題作をはじめ、「北斗の拳」、「キャッツ・アイ」など旧作も交え多彩。入館料として、利用者が作ったしおりなどを購入すると、自由に読むことができ、気に入った3冊までを持ち帰れる。NPO法人によるカレーやシチューの販売などイベントも企画し、来場者らが交流している。
利用者も接客や販売金の計算に奮闘。発達障害がある男性(17)は「計算は難しいが、昔より早くできるようになった」と話し、自閉症の男性(19)も「人と話すのが苦手なので、とても良い機会。接客にも慣れ楽しくなってきた」と胸を張る。
佐藤将一所長(43)は「捨てられる本が循環する仕組みを築きたい。気楽に人が集える地域の''たまり場''になれば」と話している。
次回は7月2日に開く。午前10時〜午後3時。問い合わせは同事業所(086―486―4562)。