
植栽の説明を受ける参加者=薩摩川内市永利町(県北薩振興局提供)
伐採された杉林の再造林が課題となる中、鹿児島県北薩地域振興局は、林業の担い手を福祉作業所の利用者に求める「林福連携」の取り組みをスタートさせた。薩摩川内市の障害者支援施設「川内福祉作業所」に呼びかけ、今月中旬に県内で初めて植栽研修をした。
同振興局林務水産課によると、国内外の木材需要の高まりで利用期を迎えた県内の杉林は伐採が進む。しかし、(1)所有林の後継者がいない(2)管理に資金がかかる(3)労働者不足−などの理由で再造林が課題。県内では伐採後の5割、北薩管内は3割しか植栽されていないという。
同課は担い手として、豚みそ生産などに取り組む川内福祉作業所に打診。作業所からは「仕事が安定確保できるメリットがある」などとして了解を得た。
手始めに薩摩川内市永利町の民有林で、15日は職員のみ、16日には利用者も含めて植栽研修を実施。16日は約1時間かけコンテナ苗木100本ほどを植えた。夏には苗木づくりの養成講座も開く予定という。
同課の佐藤嘉一課長は「実際に再造林するのは民間事業者。将来、両方をつなげられれば」と構想を説明。作業所を運営する社会福祉法人薩摩ひまわりの別府則夫理事長も「利用者には適材適所があるが、できるだけ多くの人が何らかの作業に携われればいい」と期待する。