
声の調子でメンタル状況を測定するロボット=小田原市南鴨宮
高齢介護施設に通うお年寄りや施設職員のメンタル状況を人工知能(AI)が短い会話から測定するロボット「プレンキューブ」の実証実験が、小田原市鴨宮ケアセンター(同市南鴨宮)で始まった。職員のストレス状態を察知しヒヤリハット防止につなげるだけでなく、お年寄りの日々の心の健康も職員に代わってチェックする。
ロボットはベンチャー企業「リスク計測テクノロジーズ」(横浜市中区)と「プレンロボティクス」(大阪市)が開発。お年寄りらが短いあいさつをすると、利用者の顔を認証した上で声の周波数を分析し、活動意欲や集中力などを計測できる。
昨年には鎌倉市内の病院で職員の出勤時に実証実験を実施。周りで雑音があっても対象者の声が拾えるように指向性マイクを搭載し、ハードとソフトの両面から機能も向上させた。
3日に始まった実証実験では、同センターの入り口に設置したロボットが約30人の顔を認証して日々のメンタルを測定・データ化し、「絶好調ですね」「なかなか元気ですね」など3段階で測定結果を伝える。
同センターの井上祥子所長は「職員は今までもお年寄りの体調や変化を注意深く見ている。これからは人間の目だけでなくロボットの目で科学的にも見てくれるのはありがたい」と歓迎。リスク社の岡崎貫治社長は「エッセンシャルワーカーはストレスも多く、心の健康を保つことで事故防止にもなる。来夏のリリースに向けて最終調整を進めたい」と意気込んだ。