
開店に向け準備を進めるスタッフ
【大田原】2年前に惜しまれつつ閉店した紫塚1丁目の老舗喫茶店「珈琲(コーヒー)専科 茶羅(ちゃら)」が11月、中田原の社会福祉法人エルム福祉会が運営する障害者就労支援カフェ「ヒカリノカフェ」の茶羅店として生まれ変わる。喫茶店の人気メニューだった自家製チーズケーキのレシピを継承。昭和レトロ感が漂う空間に新たな''ヒカリ''がともる。
ヒカリノカフェは障害者が焼き菓子の製造や接客を行う。現在は本町1丁目の本店、廃校を活用した蜂巣小珈琲店、市役所1階の市庁舎店の3店舗あり、知的や精神の障害がある約90人が携わっている。
茶羅店は4店舗目。今年8月、同カフェのゼネラルマネジャー川上聖子(かわかみしょうこ)さん(58)が知人を通じて、茶羅の店主だった小池義雄(こいけよしお)さんから店を引き継いだ。
1979年創業の茶羅はノスタルジーを感じる居心地の良い空間として市民に愛されていたが、新型コロナウイルス禍などを受けて41年の歴史に幕を下ろした。
自身もよく茶羅を訪れていたという川上さんは「小池さんからは『好きなようにやっていい』と言われたが、古き良き物や昔の物を受け継ぎ、思いをつないでいきたい」と話す。店内のテーブルやいす、食器などをそのまま残し、制服も当時のものを着用する。一方で、多目的トイレの設置や、入り口前にスロープを設けるなど、障害者に配慮した改装も行った。
コーヒーは、蜂巣小珈琲店で提供している全種類に加え、独自の「ヒカリノ茶羅ブレンド」を用意。茶羅で愛された深いりのコーヒーに近づけたという。チーズケーキをはじめ各種軽食も提供する。
オープン当初は職員3人と同法人の利用者2人が従事する。10月を利用者の訓練期間と位置づけ、準備を進める。川上さんは「障害者が働く新たな場として、一般就労につなげていきたい」と話している。
営業は午前11時半〜午後5時(ラストオーダー4時半)。日、月曜定休。(問)0287・23・1979。