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【愛媛県】

子どもと向き合う時間 大切にするために 保育のICT化普及へ

愛媛新聞 2021年7月20日(火)
子どもと向き合う時間 大切にするために 保育のICT化普及へ

保育ICTラボが開いたオンラインセミナーの画面。右上で話しているのが三好冬馬さん=6月中旬

 登園準備をしながら「朝ご飯、何食べさせたっけ。ウンチはいつ出たっけ?」と思い出して連絡帳に記入する保護者。保育園では、保護者からの電話が次々と鳴る中、スタッフは登園した園児一人一人のかばんから連絡帳を取り出して―。
 保護者も保育士もバタバタする毎日だが、ICT(情報通信技術)を使えばお互いがもっと楽になれるし、子どもと向き合う時間を大事にできるはず。同じ思いを抱く西予市の保育士と元松山市職員のエンジニアがツイッターで出会い、「保育ICTラボ」というチームを結成。保育でのICT活用を広めようと地道な活動をしている。
 「誰が何時に登園したか、連絡帳や提出物のチェックなど大体がアプリで完結できて、電話は朝ほとんど鳴らない」。6月中旬、オンラインセミナーで西予市の保育士、三好冬馬さん(34)は勤務先の園で導入しているICTシステムのメリットを紹介した。
 登園時、保護者がタイムカードのように園のタブレットで入力することで出席簿は出来上がる。災害時もアプリで一斉連絡が可能に。「ICTで保育を変えることが目的じゃない。保育で1番大切なことを守るためにICTを使うんです」
 三好さんは約10年前、当時勤めていた園でICT導入に携わった。当時は情報がなく「他の園はどうしているのか」「何から始めればいいいのか」。ネットで検索しても答えは出ず、試行錯誤。園での仕事は子どもとの関わりだけでなく事務作業、掃除など際限がなく休憩もままならない。ICT導入は「通常業務プラスα」で時間も要する。自身が大変な思いをしたからこそノウハウを伝えたい、と会員制交流サイト(SNS)を用いた情報発信に積極的だ。
 現在勤める園でも2020年にシステムの運用を開始。少し前まで、システムを使った保育で従来と同じ保育の質をどう担保するかと考えていた。現在はアプリ上の連絡帳に園での写真を添付するなどシステムならではの保育の可能性を感じている。
 「―ラボ」でともに活動するエンジニアの吉野亜祐美さん(32)は松山市職員当時、娘が保育園に入り「園に連絡したいけど今忙しいかな」と気が引けた。都合がいいときに見てもらえる連絡手段があればとの思いが募り、大学まで文系だったがプログラミングの世界に飛び込んだ。
 調べると、既に連絡用のアプリを作っている会社が10社以上あった。「せっかくシステムがあるのなら、つなぐ役割をしたい」と市役所を退職。21年1月から「SANPO system labo」を立ち上げ、保育システムの導入支援などを行っている。
 「興味があっても、自分でシステム会社を探して、何ができるかなど直接聞くのはハードルが高いと思う。気軽に問い合わせてもらいたい」と呼び掛ける。
 オンラインセミナー後、問い合わせが多数届いたため、動画投稿サイト「ユーチューブ」のチャンネルを作り、よくある質問に答える動画を配信している。
 目指すのは、ICTを活用して子どもと向き合う時間を大切にすること。2人の奮闘は続く。

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