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【大分県】

無線通信とAIで高齢者の急病や危険予測 大分の企業開発

西日本新聞 2020年1月6日(月)
無線通信とAIで高齢者の急病や危険予測 大分の企業開発

「RFID」を活用したシステム

 無線通信で人や物を自動認識する技術「RFID」を活用し、介護施設で高齢者の危険を感知、予測するシステムを大分市の企業が開発した。タグを付けた高齢者の急病や徘徊(はいかい)をセンサーが認識し、職員へ連絡。動線データはシステムに蓄積して人工知能(AI)が分析、見守りの注意点としてアドバイスする。RFIDとAIを使った介護分野での行動予測は全国でも珍しいという。同社は「介護現場は人材不足が深刻。人の目を補強するセーフティーネットとして活用の場を広げたい」と話す。

 開発したのはIT企業「LIFE」。施設は屋外での徘徊につながる玄関などにセンサーを設置。個人識別番号を埋め込んだ電池不要のタグ(0・01グラム)を服やつえに貼り、センサーに近づくと職員のスマートフォンにリアルタイムで伝わる。服に縫い込み洗濯できるタグもある。医療機器への影響はないという。

 同社のシステムでは、センサーがどのような行動が危険と判断するかについて細かく設定することもできる。ベッドからの転落や急病のため助けを呼べない事態を想定し、「ベッド横やトイレ付近で動きがないとき」に職員に知らせることも可能だ。

 この設定は、社員の90代の祖母が入院中、真夜中にベッドから転落して骨折した教訓を生かした。祖母は、ナースコールを押せず、約3時間、誰からも気付かれずに苦しんだという。

 高齢者の毎日の動線データはAIが分析。「よく行く場所」「行くと予測される場所」「行動の特徴から考えられる心身状態」などの情報を施設に提供し、危険回避に役立てる。

 公益財団法人「介護労働安定センター」(東京)の調査(2018年10月)によると、全国7084の介護事業所の67・2%が「人材不足」と回答。職員約2万1千人の16・5%が「夜間に何か起きるのではないかとの不安」を抱えていた。高齢者の見守りや業務効率化のため、一部の施設は情報通信技術(ICT)を活用している。

 同社は18年に広島市の特別養護老人ホームで実証実験を実施。「機械で管理される」印象から抵抗感があることも懸念されたが、タグを貼るだけなので高齢者の苦情はなく、家族からは「1秒先の行動が分からないので安心」など肯定的な声が大半だった。

 現在、鹿児島県の特別養護老人ホームや病院が導入を検討している。同社は「災害時、誰がどこにいるかも把握できる。人とシステムの二重の見守りで高齢者が安心して暮らせる環境をつくりたい」と話す。

 RFID Radio Frequency IDentificationの略。ICタグを付けた人や物を無線通信によりセンサーが自動認識する技術。数センチ−数メートル内にあるタグ情報を1秒間に1000枚以上、同時に読み取ることが可能で、大規模倉庫でも在庫管理が効率的に行える。従業員の出退勤管理のほか、大手アパレルショップで買い物客自身が行う自動精算、高速道路での自動料金収受システム(ETC)など、多分野で活用されている。

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